腸の状況の改善から健康な体を手に入れる「腸活」。消化器内視鏡専門医の平島徹朗さんと秋山祖久さんによると、腸活のポイントは「たりていない栄養に気づくこと」なのだそう。おふたりに、腸の活動を改善するために必要な栄養と、おすすめの食品について詳しく伺いました。
すべての画像を見る(全5枚)腸から栄養が漏れる「腸漏れ」に要注意
日頃からしっかり栄養を摂っているはずなのに、なぜか太りやすいし、疲れやすいし、老けやすい…。そう感じるのは、腸から栄養素が漏れてしまう「腸漏れ(リーキーガット症候群)」を起こしている可能性があります。腸漏れが起きると、十分な栄養素を口から摂っていたとしても、「栄養不足」の状態をつくり出してしまいます。
この腸漏れを予防するために積極的に摂りたいのが「食物繊維」です。食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなる栄養素。これが増えれば腸内の活動が正常化し、腸漏れも改善しやすくなりますが、食物繊維もまた不足している人がほとんどなので積極的に摂取するようにしましょう。
食物繊維は「水溶性」と「不溶性」の2種類ある。理想バランスは「1:2」
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、理想は「1:2」のバランスで摂取すること。
現代の日本人は、不溶性食物繊維よりも水溶性食物繊維のほうが不足していますので、納豆や海藻などの水溶性食物繊維を多く含む食品を意識して摂るようにしましょう。
食物繊維はいろいろな食品から摂り入れる
腸内細菌が食物繊維を食べてエネルギーにすることを「発酵」と呼んでいますが、腸内で発酵が起これば起こるほど、腸内細菌はエネルギーを生み出して活性化します。
また、ひとつの食品から食物繊維を摂り入れようとせずに、さまざまな食品から摂り入れましょう。腸内細菌によって食物繊維が発酵するまでの時間は異なるので、いろいろな食品から摂ることで発酵のタイミングが増え、善玉菌が元気に活動する時間が増えます。
食物繊維を毎食摂れなければ、朝と夜に食物繊維をしっかり摂ることで発酵が持続し、腸内細菌は24時間働くようになります。結果、腸内環境がよくなり、腸漏れの対策にもつながります。
「ビタミンD」は腸を健康に整えるうえで必要
ビタミンにはさまざまな種類がありますが、なかでも腸漏れ予防にとても効果的なのは「ビタミンD」です。
ビタミンDは腸粘膜の細胞の結合を改善してくれる栄養素です。つまり腸の細胞と細胞をしっかりつないですき間をとじて、腸漏れを防いでくれるのです。結果、ほかの栄養素の吸収力を高めてくれたり、体にとって不要なものをブロックしてアレルギーや炎症を予防してくれたりするというわけです。
さらにビタミンDを継続して摂取することで腸内細菌の多様性が高まり、善玉菌が増えることがわかっています。