AI家電や生成AIなど、ますます私たちの暮らしに浸透し始めているAI。AIと聞くと「ビジネスに使うもの?」と思いがちですが、家事や子育てに活用できるシーンがじつはたくさん! 元バドミントン選手の潮田玲子さんが、理系主婦のまりさんに、目からウロコの活用術を教わりました。
AIでどう変わる?【暮らし・子育て編】
日常のなかでAIを活用する主婦として、SNSでも情報発信をしているまりさんに、暮らしや子育てに使えるAIのことをいろいろ聞いてみました。
●ビジネスだけでなく、暮らしや子育てにも。AIの活用シーンは意外にたくさん!
まりさん:潮田さんは普段の生活でAIを活用していますか?
潮田さん:知識も底辺で(笑)、積極的に活用していないですね。ただ、コメンテーターの仕事の前にAIに時事ネタを時系列で並べて要約をつくってもらうことはあります。ところで、今、まりさんはなにを撮影しているのですか?
まりさん:わが家の賃貸契約書を撮影していました。賃貸だと電球がきれたとき、交換するのが借主の私か管理会社か、契約書を読まないとわからないですよね? そんなときは撮影した契約書をAIに読み込ませ、「だれが交換するの?」と聞くだけで、答えを教えてくれるんです。
潮田さん:そんな使い方が…! 確かに細かい契約書を読み解くのは大変だし、時間もかかりますよね。家電の説明書を読み込ませてもいいですね!
まりさん:AIは子育てにも活用できるんですよ。たとえば算数の旅人算のような文章問題は言葉で説明するとややこしいですが、AIを使ってアニメーションにして視覚化すると子どもが直感的に理解できるんです。
潮田さん:私は算数が苦手で、子どもに説明をするのもひと苦労だから、これは役立ちそう!
まりさん:ほかにも子どものバスケの試合動画をAIに取り込み、プレー中にどんなことが起きていたのかを教えてもらっています。
潮田さん:現役のときにAIがあったら…(笑)
まりさん:私がバスケに詳しくないので、子どもにうまくアドバイスできなかったけれど、AIのおかげで具体的な声がけができるようになりました。
●細かい判断までサポートしてもらえるAIは、今後も私たちの暮らしに欠かせないものに
まりさん:AIの活用方法は多く、子ども部屋の片づけのコーチングを相談したり、子どもが興味をもって学べる漫画をピックアップしてもらったり。AIを通じて、子どもたちの「好き」や「やってみたい」という好奇心を広げるきっかけになっています。AIは子育てのよきパートナーですね。
潮田さん:AIに頼ると、自分で考えなくなる不安もありますが…。
まりさん:私はAIを使い始めてから考えることが増えた、と感じています。子どもがAIと接するときは、すぐに答えに辿り着いてしまう質問ではなく、「どうしたら子どもが考えるプロセスを踏んでくれるか」という視点で質問するようにしています。
潮田さん:子どもの思考を深める会話を引き出すためには、こちらも考える必要があるわけですね。
まりさん:暮らしのなかで小さな判断を求められることもたくさんありますよね。そんなとき、AIに助けてもらっている感じです。頼れるものが1つ増えたというイメージですね。
潮田さん:今後はAIが暮らしに欠かせないものになりそうですね。私は早速、自分のゴルフのスイングをAIに解説してもらおうかな。上達できちゃうかも…!
●潮田さんが算数のアニメーション解説を体験!
使用するのは、最近のスマホやPCに搭載されているAIサービス。算数が苦手な潮田さんですが、問題文を入力するだけの手軽さに興味津々。
わずか数分待つだけで、算数のアニメーション解説が完成。「早くてびっくり! テクノロジーってここまで進歩しているんですね」(潮田さん)
AIでどう変わる?【電気編】
●教えてくれた人/電気事業連合会 広報部・山田昌宏さん
私たちの暮らしで当たり前になってきている対話型生成AIでの検索やAI搭載の家電。じつはAIの進化の裏側では、安定した大量の電気が必要なんです。
「AIを使うと情報を処理するサーバーが大量の電気を消費します。しかし、電気はガスや水道と異なり、大量に貯めておくことができないため、安定的に電気を供給するには、常に電気をつくり続ける必要があります」と話すのは、電気事業連合会の山田昌宏さん。需要と供給のバランスが崩れると、最悪の場合、大規模停電が発生するリスクもあるそうです。
「日本の主な発電方法には、火力や原子力、水力・太陽光・風力などの再生可能エネルギーがあります。それぞれに異なる特徴があり、たとえば再エネは燃料費が不要ですが、天候に左右される難点が。一方、火力は安定して大量の電気を発電できますが、燃料費が高く、CO2を排出することが課題です。どれかひとつに頼るのではなく、バランスよく組み合わせる『エネルギーミックス』が重要です」(山田さん、以下同)
AIのようなテクノロジーの発展は、人口減少が進む日本において、経済発展と持続可能な社会の実現に不可欠なもの。
「電気はこれからも暮らしに欠かせないので、未来を見据え、私たちひとりひとりがともに考えていくべき課題なんです」
●トピック1/2040年には電力量が最大2割増しに
人口減少や節電・省エネの進展により将来的には減少すると予測されていた電力量ですが、AIの普及や半導体工場新増設の影響で電力需要は増加。2040年には最大2割増になる見通しも。
●トピック2/安定供給とCO2削減を両立するためにはバランスを考えた発電方法がカギに
日本の電気の約7割は火力発電ですが、CO2を排出するため環境への影響が懸念されます。将来的に電力量が増える見通しにおいては、再エネや原子力など発電時にCO2を排出しない発電方法を増やすなど、バランスの見直しが求められています。
※ 出典:資源エネルギー庁HP「第7次エネルギー基本計画」を基に作成
「今のままだと、AIを使えば電力量とCO2排出量が増える…。難しい問題だけど、みんなで考えていきたい課題ですね」(潮田さん)
協力/電気事業連合会 https://www.fepc.or.jp/







