女性は40歳を過ぎ、プレ更年期に入っていくと体にさまざまな変化が起こります。そのひとつが「高血圧」。ずっと低血圧だったのに、いつのまにか高血圧になっているという人も少なくないそうです。ここでは、高血圧が引き起こす病気や、血圧を改善する方法ついて紹介します。教えてくれたのは、内科医・産業医の森勇磨先生。登録者数75万人を超えるYouTubeチャンネル『予防医学ch』を運営しています。

高血圧の女性のイメージ画像
高血圧が命に関わる病気を引き起こすことも。(※画像はイメージです。画像素材:PIXTA)
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そもそも、高血圧ってどういうこと?

「血圧が高めなので気をつけましょう」

よく聞くフレーズではありますが、そもそも、高血圧というのはどういう状態のことを言うのでしょうか?

『わたしの血圧ノート2024』(扶桑社刊)内の解説イラスト
『わたしの血圧ノート2024』(扶桑社刊)より

「高血圧は、『血管が硬くなる』+『血流量が増える』=『血管を通る圧力が増す』ことで、内側から血管を押す力が強くなった状態をいいます。年齢を重ねるとある程度、血管は硬くなるものですが、それ以上に脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病の影響を大きく受けます」と話すのは、医師・森勇磨さん。

一方で、血流量が増える大きな原因となるのが「塩分」です。塩分に含まれるナトリウムは、血管の中に水分を取り込む働きがあり、塩っ辛いものを食べ続けていると、血管内のナトリウム量が増加し、水分も増えます。結果、血管を流れる血流量が増えてしまうのです。

「高血圧によって血管が傷つき、さらに血圧が上がるという負の連鎖が続きます。傷ついた血管はもとに戻りませんが、血圧を下げて負の連鎖を断ち切ることが重要です」(森先生・以下同)

高血圧はおそろしい「時限爆弾」

ただ、日常生活を送るなかで、高血圧の影響はほとんど感じることはありません。「命に関わる病気になるかもしれない」と言われても、ピンとこない人も多いのではないでしょうか。

「それが高血圧の恐ろしさなのです。高血圧をそのままにしておくと、確実に血管は傷つき、動脈硬化が進行します。結果、どうなるかというと、からだのさまざまなところで重篤な病気を引き起こします」

『わたしの血圧ノート2024』(扶桑社刊)内の解説イラスト
『わたしの血圧ノート2024』(扶桑社刊)より

高血圧が引き起こす病気の代表例はというと、たとえば、脳で血管が破れたら「脳出血」、血管が詰まれば「脳梗塞」を引き起こすし、心臓で血管が狭くなれば「狭心症」、血管が詰まると「心筋梗塞」…どれも、おそろしい病気です。

「そのほか、血管の壁が厚く硬くなって血流が悪くなる『動脈硬化』になると、腎臓へ流れる血流が減ってしまい、腎臓の機能が低下。『腎不全』や『腎硬化症』を引き起こすこともあります。高血圧が症状として現れるのは生死にかかわる状態にまで悪化してからです。高血圧の人は体に“時限爆弾”を抱えているようなものなのです」