70代になり徐々に終活が近づくと、つい身の回りを整理しようと捨て活を始める方もいるのではないでしょうか。ですが、栃木県・益子で55歳から69歳までカフェ「猫車」を営み、現在はひとり暮らしをしている信田良枝さんは必要なものだけをもつ生活をし、捨てるものはないのだそう。今回は、信田さんの本当に好きなものを選んで心地よく暮らすためのアイデアをご紹介します。
※ この記事は『77歳 365日の紡ぎ方: 益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所 』(主婦と生活社)より一部抜粋、再構成のうえ作成しております
すべての画像を見る(全3枚)好きなものを部屋の情景にする
70代になると、終活の一環でものを整理する人が増えてきます。なかには”使わないから”という理由で、好きなものを泣く泣く手放す人も…。
信田さんにその話をすると、「捨てるようなものをなぜ買うの?」と一刀両断。ちょっとかわいいものを手が届くからと買うのではなく、本当に好きなものを少しがんばって買う。そういうものはずっと好きで、大切にするもの。
「私がもっているものは、好きか必要のどちらか。捨てるものはありません」(信田さん、以下同)
家にある家具や服は、自分の眼鏡にかなった好きなものばかり。きれいなあき箱やクッキー缶、使い終えたカレンダーや包装紙などなど…も捨てません。“カタチ”が好きな数字や文字まで、おとりおきの対象です。
好きな入れ物に“好き”な紙片をたくさん集めたら、今度は「なにに使おうかな」とぜいたくな悩みを楽しみます。
「リサイクル? いえ、好きだからそばに置いておきたいし、ながめていたいだけ」
「だから、ひらめいた順にペタペタコラージュ。味気のない団扇やバインダーが、見違えたようにすてきになります。本に巻いてブックカバーにすることも」
また、たとえば写真家の個展や画廊から届くポストカード。気に入ったものはベンチ後ろの壁に飾って、楽しいコーナーに。知人のフォトグラファーからもらった作品も一緒に飾っています。