50代を過ぎると気になり始めるシワやシミ。そんな加齢とともに起きる変化について「シミやシワは隠さずに堂々としていれば、ファッションやメイクはもっと楽しくなる」と語るのは、栃木県の益子で55歳から69歳までカフェ「猫車」を営み、現在はひとり暮らしをしている信田良枝さん(70代)。今回は、手づくり服の工房『coromo』で服づくりもしている信田さんによる、自分らしく過ごすためのファッションとの向き合い方についてご紹介します。

※ この記事は『77歳 365日の紡ぎ方:益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所 』(主婦と生活社)より一部抜粋、再構成のうえ作成しております

信田良枝さん
仕事をやめた後、服づくりを始めたという信田さん
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素材、サイズ、用途。自分本位で服を着る

サスペンダーパンツ バルーンパンツ
最近気に入っている、ゆったりシルエットのサスペ ンダーパンツ(左)とバルーンパンツ(右)

「仕事を辞めて家にいる時間が長くなり、おうちですてきに暮らす洋服があるといいな、と思って服をつくり始めました。仕事服っていろいろと制約があるでしょ。でもそれももう、いいんじゃないかと思って。その代わりに新しい楽しみに出合ったって感じかしら」(信田さん、以下同)

信田さんは『coromo』という手づくり服の工房をもっています。シンプルなデザインの服はゆったりと空気をはらみ、ノビノビと動けて行動を制限しません。なんと、ノーブラさえ許してくれます。

「もう、服に自分を合わせるのはやめようと思ったんです。たとえば、服のために補整下着を身につけるなんて、私はまっぴらごめん。カップつきのインナーさえもできればNGです」

服づくりで大事にしているのは着心地。服の多くはサイズフリーで、たっぷりと生地を使い、ウエストは伸縮性のあるゴムで仕上げています。

また、いわゆる直線裁ちの服は、縫うのも着るのもラクなので、よくつくります。生地はコットンやリネン、ウールなどの天然素材が中心です。

「自分が家にいるとき、気分よく過ごせるのはどんな服か。人目がないからなんでもいいって? それはない。だって鏡を見ている自分がいるもの。着心地がよくて、鏡に映る自分を『私ってすてきじゃない!』と思える服を着ることは、心の健康にもつながると思うんです。これは実感です」