更年期世代の女性によく起こりがちなのが「腰痛」。掃除や買い物などで重いものを持ち上げたら、腰がグキッとなって痛い思いをすることも…。なぜ、更年期にこのようなトラブルが起きやすくなるのでしょうか? 今回は、ILC国際腰痛クリニック院長の簑輪忠明先生に、更年期に腰が弱る原因や、起きやすい腰痛の種類、また、日々の生活のなかでできる予防策について教えてもらいました。

腰痛に苦しむ50代女性
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
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更年期になると腰痛を起こしやすい原因は?

骨盤底筋
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50歳以降には、筋肉の衰えが強くなります。今まで骨格を支えてきた筋肉が衰えることで、構造の変化が起こりやすくなります。

とくに骨盤の底にある「骨盤底筋(こつばんていきん)」は、腰をはじめとした姿勢全体を支えている筋肉ですが、ここが衰えると骨盤が後ろに傾いた状態になり、慢性的な腰痛が続くこともあります。

また、更年期は女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が減り、ホルモンバランスの変化が起きることで体質の急激な変化が起きるため、全身状態として不調が起きやすくなります。

東洋医学的には「肝」の乱れ・「腎」の乱れが起きる時期ともされています。「肝」の乱れは筋肉やメンタル、血流の乱れを示唆します。「腎」の乱れは水分の乱れでもあり、それらの変化が腰の不調を引き起こす原因となりやすいと考えます。

更年期世代がとくに注意したい「坐骨神経痛」

坐骨神経痛に苦しむ50代女性
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とくに更年期に起こりやすい腰痛は「坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)」です。

坐骨神経とは、腰から足先に向かって伸びている神経です。腰部の脊髄から出ている、複数の脊髄神経根によってできています。

この神経が圧迫されたり、刺激を受けたりすると、お尻や太ももの裏、すね、足先などにしびれるような痛みが生じます。

更年期に起こりやすい原因としては、筋肉の衰えが考えられます。筋肉が衰えると骨・関節・椎間板への負担を増やすことにつながり、脊椎まわりの血流が悪くなったり、炎症を起こすことで、坐骨神経痛を引き起こしやすくすると考えます。