三つ星レストランが教えてくれた大切なこと

若き日の三國シェフ
若き日の三國シェフ(著書『三國、燃え尽きるまで厨房に立つ』(扶桑社刊)より)
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僕が近所の人に愛されることの大切さに気づくことができたのは、修業した三つ星レストランのシェフたちのおかげだ。どのシェフのレストランも、地域の人々にとても大切にされていて、それが従業員である僕にも伝わってきた。

なかでももっとも印象に残っているのは、アルザスの小さな村にあるポール・エーベルランの店「オーベルジュ・ドゥ・リィル」だ。

すごい田舎にあるのだが、もてなしも料理も抜群に洗練されていた。だが、その洗練の中に素朴な温かみが感じられ、それが店全体を包み、だれもが「ここに来て本当によかった」と思わされてしまう。

店はエーベルラン一家が総出できり盛りし、従業員は全員地元のおじさん、おばさんだった。みんなやわらかい笑顔で幸せそうに仕事をしていて、ホールも厨房もとてもいい雰囲気でとにかく居心地がよいのだ。

地元の人たちは皆この店を愛していたから、店を目指してはるばるやってくる旅人にとても親切だった。その表情は「ようこそ、オーベルジュ・ドゥ・リィルのあるわが村へ」と言っていた。そこに住む人たちがレストランの存在を誇りにしている。

いい店というものはこうでなくてはいけない。僕はこんな店をつくりたいとずっと思っていた。

フレンチの巨匠、三國シェフの新刊『三國、燃え尽きるまで厨房に立つ』(扶桑社刊)は、激動の人生を凝縮した1冊です。30歳で開業し37年間ほぼ満席だった「オテル・ドゥ・ミクニ」を閉店し、70歳でわずか8席の新店をオープンさせた理由とは? 昭和、平成、令和を駆け抜け、常に時代を切り開いてきたシェフが、「ミクニ」で成し遂げたこと、そして、今なお追い求める夢をつづった自伝は必見です。

三國シェフの出版記念イベントが開催!

なんと『三國、燃え尽きるまで厨房に立つ』の刊行を記念して、三國シェフのトークイベント&サイン会を10月25日に誠品生活日本橋で開催!

「オテル・ドゥ・ミクニ」で7年間、パティシエの料理長を務めた「パティスリーエーグルドゥース」寺井則彦シェフをゲストに迎え、師弟関係ならではのエピソードや、「ミクニ」での体験が今にどう生きているのかなど、ここでしか聞けない貴重な話をたっぷりお届けします。

<イベント概要>

日時:2025年10月25日(土)12:00~13:00(終了時間は前後する場合がございます)
定員:会場 50名/オンライン 70名
場所:FORUM/オンライン(Zoomウェビナー)
参加費:会場 1000円+1760円(書籍代)※参加費(1000円)のみ事前支払/オンライン:3200円(税・送料・手数料込み)
イベントの詳細は、誠品生活日本橋のページでご確認ください

 誠品生活日本橋のイベントページ

書影

三國、燃え尽きるまで厨房に立つ

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