自分の年齢が上がるにつれ頭を悩ませることのひとつが「実家の片づけ問題」。

両親が元気なうちにやっておきたいと思うものの、「ものを捨てたくない親」とぶつかり、なかなか進まず…という話も少なくありません。

「実家の片づけというのは、プロでも一筋縄ではいかないもの。少しでもスムーズに進める上で重要なのは、親がなぜ捨てられないのかを理解して、片づけの必要性をわかりやすく伝えることです」と話すのは、整理収納アドバイザーの小林志保さん。

現在70代の義母と同居する、アラフィフ世代の小林さんに、親の気持ちを尊重しながら無理なく実家の片づけを進めるコツについて教えてもらいました。

棚
「実家の片づけ」には、生き方、考え方、親子の関係が大きな壁になりやすい
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実家の片づけの無理強いはダメ!親が「なぜ捨てられないか」を理解することから

40代~50代の私たちの親世代というのは、戦後ものがない時代から高度経済成長で一気にものが増えていく暮らしを体験している世代です。ひとつのものを大切に壊れても修繕しながら使っていく子ども時代を過ごしていたため、ものを捨てるという考え方はご法度と教えられていたものと考えられます。

しかし現在ではものは量産され、低価格で手に入りやすい時代に。気づけば家の中にどんどんものが増え続け、結果実家はものだらけに…。

子どもの頃からものを捨てることを意識せずに暮らしてきた親世代にとって「ものを捨てる」という考え方は大きな決断を強いることになっているのかもしれません。

●実家の片づけが進まない理由には「親子の関係」が影響する場合も

ソファに腕を組む男女
実の親だからこそ「ものを減らす」説得が難しいことも(※写真はイメージです)

片づけのお仕事でも「実家のものが多すぎるのでどうにかしたい」というご相談を受けることがあります。どうしても片づけてほしくて、言いすぎてケンカになってしまったというお話しもよく聞きます。

私は現在、夫の母と同居をしています。片づけが苦手で、ものを多く持ちすぎる義母でしたが、今では自分なりに調整してものを持つ暮らしにシフトすることができています。

なぜそれができたのか? おそらく義理の母だからです。血のつながりがないことはある意味、他人でもあるので、言葉かけには細心の注意を払い、無理にものを捨ててもらうようなことはありませんでした。

片づけのことでケンカになってしまうケースは、つい感情的になってしまう、実の親との場合が多いように感じます。

親の立場からしてみれば、部屋の中が散らかっていたとしても、その状態で何十年もなんの不満も感じることなく暮らしている場合がほとんど。そんななか、独立した子供どもたちに「片づけろ、ものを捨てろ」と言われたら不快になる気持ちもわかります。

さらに実の親子の場合、思いがそのまま言葉に出てしまいケンカになり、ますます片づける気持ちから遠ざかってしまうことも。実家の片づけをするときは

あくまでも自分のものではなく、住んでいるご両親のものだということを念頭に置いて、言葉を選びながら対応してみて

ください。

●「なぜ片づけが必要なのか」を親子で考える機会をつくる

病院のベッド

子どもたちが成人した頃、ママ友や友人間で増えてくるのが親の介護の話題です。

「最近、親の調子が悪い」「ちょっと前に救急車で運ばれて入院いている」ほんの数日前まで元気で暮らしていたはずの両親が、年齢とともに弱ってきていることを実感することになります。

独り身の親の場合、同居や施設に入ってもらうことも視野に入れないといけません。そこで問題になるのが、実家にある大量の荷物。入院中に介護認定を受け退院を目前にしたとき、考えることが多すぎて、ものの整理まで気を配る余裕は正直ありません。

たとえば

・在宅介護の場合どの部屋で過ごしてもらうのか?
・介護用ベッドを設置するスペースはあるのか?
・ケアマネジャーさんを含め家族以外の人が出入りできる状態にあるのか?
・施設に入居してもらうとしても、家にあるものをどうすればいいのか?

など、予測していないことが起きたときに慌てずに対応するためには、家の中が整理できていることが重要であることを、きちんと話せば、理解してもらえるのではないでしょうか。

子どもである私たちができることから「実家の片づけ」を始めてみましょう

親子ともに気持ち面での整理ができたら、実際に「実家の片づけ」をスムーズに進めるポイントを解説します。