ベッドは使わず、ソファもいらない。飾り棚も、そこに入っていたお気に入りも、たくさんの器も手放したエッセイストの広瀬裕子さん。今、手元にあるのは「これからの自分」を考えて選んだものだけ。すっきりとした空間は一見ストイックにも見えますが、「がまんしていることは意外とない」と話します。

※ この記事は『別冊天然生活 手放して軽やかに暮らす』(扶桑社刊)を一部抜粋・再構成して作成しています。

広瀬裕子さん
たくさんのものを手放し、身軽に暮らすエッセイストの広瀬裕子さん
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体調を崩したことが家具を手放すきっかけに

コーヒーを注ぐ広瀬さん

「手放すときって勇気がいると思いがちですが、実際にはそうでもないんですね。わが家を訪れる方は、ものの少なさに驚く方も多いのですが、今の私にはこれで十分です」(広瀬裕子さん、以下同)

多くの家具を手放すきっかけになったのは、ある日、体調を崩したことでした。高熱でふらふらした状態で家具の間をぬって動くことに危険を感じた広瀬さん。

「今でも不安を感じるのだから、もっと歳を重ねたら大きなケガにもつながると実感したんです」

未来の自分を考えてものを選ぶ

クローゼットの整理をする広瀬さん
服こそ違和感がはっきり出るので、手放す判断がつきやすいです

「もの選びの先には、未来の自分の姿があります」と広瀬さん。今は、なんとか大丈夫。でも10年後、20年後の自分にとっては? その視点で少しずつ、必要のないもの、手に余るであろうものを手放しています。

食器

食器は、毎日使うものを中心に。服も、今の自分が似合うもの、好きなものを選びます。少しでも重い、肌触りが気になる、色味が今の自分に合わないなど、違和感のあるものは残しません。

「私は質感のそろった器でごはんを食べるのが好きだと気づき、一点ものの作家の器は手放しました」

愛用していた家具や器は、価値を理解してくれる人たちに。大切なものだからこそ、行き先まで考えて手放すのです。

布団

実家の片付けを経験したことも、手放し方を考えるきっかけになりました。

「手放すには、体力も気力も必要だと実家の片付けで痛感したんです。業者に依頼したのですが、思い入れのあるものも、そうでないものも一緒にビジネスライクに処分されてしまった。それを目の当たりにし、自分の体力や判断力に余裕があるうちでないと、納得いくかたちで手放すことは難しいと考えさせられました」

粗大ゴミでベッドを手放すのは大変と気づき、丸洗いできる軽い布団に変更。出し入れも簡単になりました。