高齢化が進む現代社会において、「孤独死」はけっして他人事ではありません。もし、遠方でひとり暮らしをしている家族が、万が一「孤独死」を迎えてしまったら、そのときどうすればいいのでしょうか? 今回は、グループ合計18万件の遺品整理実績を持つ「遺品整理プロスタッフ」の代表取締役社長・石田毅さんとスタッフの田中さんに、現場で見えてくる「孤独死のリアル」について詳しく伺いました。

ゴミ屋敷
遺品整理のリアルとは?(※画像はイメージです)

遺品整理の現場は「特殊清掃」が必要になる場合も…

遺品整理の片付けのなかには、特別な作業が必要になるケースがあります。それが「特殊清掃」です。

特殊清掃とは、通常の掃除では取り除けない汚れやにおいを専門的な技術や機材で取り除く清掃方法。とくに孤独死の現場では、発見の遅れからこの特殊清掃が欠かせないケースが多くあります。

「僕たち業者は、ご親族や大家さん、もしくは建物の管理業者から整理と清掃の依頼を受けて部屋に入ります。ご遺体のある状態の場に入るわけではないので、故人に関しての詳細はわかりませんが、現場では大変な状況に直面することも多いです」(田中さん、以下同)

発見が遅れた「孤独死」の現場。その知られざる現実とは?

孤独死の現場では、予期せぬ状況が多々発生します。今回は、田中さんが実際に担当したケースをご紹介します。

病気で倒れ、そのまま亡くなってしまったと推測される部屋は、一見整頓されているように見えました。しかし、床には広がった血液の跡があり、強烈な臭気が室内全体に立ち込めていたのだとか…。

「このケースでは、故人が部屋の中央で倒れていたため、体液や血液が広範囲に広がってしまい、状況がさらに深刻化していました。また、遺体の発見が長期間遅れてしまったこともあって、大規模な清掃作業が必要となりました」(田中さん、以下同)

発見が遅れると、遺体の腐敗が進み、故人の識別が難しくなる場合があります。とくに夏場は、気温が高くなることで腐敗が急速に進み、部屋全体に悪臭やしみが広がる原因になるため、特殊清掃の規模が拡大しやすいそうです。

「最近では物価高騰の影響で、冷房を使わずに生活する方も増えています。そのため、猛暑の中で孤独死が発生し、発見が遅れることで状況がさらに深刻化するケースが少なくありません。この現場もまさにそうした例でした」