1月から2月にかけては一年のなかでもっとも寒くなる季節。インフルエンザが猛威をふるっていますが、高齢者の間では「脳出血」や「心筋梗塞」の発症も多いといいます。そこで、『まいにち血液サラサラみそ汁』(扶桑社刊)の監修を務めた栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生に対策を伺いました。
すべての画像を見る(全4枚)この冬、高齢者が警戒すべき「脳出血」「心筋梗塞」
現在、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスが流行っています。とくに高齢者にとっては、不安が募る時期です。インフルエンザは2024年の年末、患者数が全国平均で警報レベルになりました。
それ以上に高齢者がこの時期に心配なのが、血管や血圧が原因によって、くも膜下出血などの脳出血や心筋梗塞を発症することです。脳出血や心筋梗塞も冬に起こることが多いそうで、とくにくも膜下出血は冬の午前6時から午後12時までが発症しやすいというデータも。
高齢になると、血液や血圧の数値がどうしても悪くなってしまいがち。それを放置していくと血管の老化を招き、上記のような脳出血や心筋梗塞になる可能性が高くなります。
さて、皆さんは、自分の血液に自信があるでしょうか?
老化が一気に加速する「ドロドロ血液」の原因は?
血液は私たちの生命活動を支える重要な要素ですが、放っておくと知らず知らずのうちにドロドロになってしまうことがあると、栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅先生は言います。
「血液は血管の老化を引き起こす可能性があります。高血圧や動脈硬化を予防し、若々しく健康でいるためには、まず血液の状態を整えることが大切です。 血液がドロドロになる主な原因は『中性脂肪』『糖』『ストレス』『歯周病菌』の4つ。中性脂肪は適量ならエネルギー源となりますが、過剰になると脂肪肝の原因となる、生活習慣病の発症リスクを高めます。糖の過剰摂取は血液を粘り気のある状態にし、血流を滞らせます」(栗原先生、以下同)
また、ストレスも見過ごせません。
「ストレスが増えると血液がベタベタし、流れが悪くなります。血液を健康に保つためには、これらの要因をできるだけ避けることが重要です。さらに、口腔内に存在する歯周病菌が血液中に入り込むと、糖尿病や心筋梗塞、認知症などさまざまな疾患を引き起こす可能性があります」
血管の老化を加速する「高血圧」と「ドロドロ血液」
血管は年齢とともに衰えますが、その原因の多くは高血圧とドロドロの血液にあると栗原先生は言います。
では、なぜこれらが血管を老化させるのでしょうか?
「心臓はポンプのように収縮と拡張をくり返しながら、血液を血管へ送り出します。血圧とは、その際に血管にかかる圧力のことです。高血圧とは、その圧力が過剰になった状態です。たとえば、水道のホースに強い水圧をかけ続けると、ホースが破裂してしまうように、血管も高血圧によって傷つき、硬化しやすくなります。
高血圧が続くと、血管の内側に傷がつき、その傷が原因で動脈硬化が進みやすくなります。40代以上で血圧が140/90mmHg以上の人は要注意。長年にわたる高血圧は、血管の弾力を奪い、心臓にも負担をかけるため、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクが高まります」
次に問題となるのは、血液のドロドロ化です。
栗原先生によれば、健康な血液はサラサラと流れ、体中に酸素や栄養素を停りなく届けますが、ドロドロの血液はこの流れを妨げると言います。
「油っぽい食事を続けていると、血液の中の赤血球や白血球が粘り気を増し、お互いにくっつきやすくなります。その結果、細い血管をとおりにくくなって、血流が滞りがちに。血液がドロドロになると、心臓はより強い力で血液を送り出さなければならず、血管への負担が増し、結果的に血管が老化してしまうのです。高血圧とドロドロの血液は、血管の老化を加速させる大きな要因。血管を若々しく保つためには、食事に注意し、適度な運動を心がけることが大切です」