親の生活や介護に責任をとろうとしなくていい。今日も生きていればOK
――ただ、親のケアを他人にまかせることに罪悪感を抱く方もいます。
ジェーン・スー:罪悪感についていえば、私もうっすらとはありますよ。でも、それは標準装備だと思うことにしました。
川内潤:罪悪感を解消しようとするのは不可能に近いです。うっすらあるものとしてつき合っていくのがいい。
ジェーン・スー:後悔と一緒で距離が近い方が罪悪感は増えると思います。母の入院中、私は病院に寝泊まりをしていて、ある日の夜中、あまりに眠くてトイレの介助に失敗し、母を転倒させてしまったことがあります。30年近く前のことなのに、いまだにそのシーンがフラッシュバックして、申し訳ない気持ちになるんです。
川内潤:親の生活や介護に責任をとろうとしなくていい。がんばっても責任はとれるものではありませんから。
ジェーン・スー:だから、父に関しては、「もっとできたことがあったかもね」ぐらいの、ぼんやりした感じで葬式を迎えたいと思っています(笑)。「今日、死んでなければOK」というスタンスだと、おっくうな父への電話もかけようかなと思える。「今日、死んでなければそれでよし」というのを続けていくのだと思います。