子育てと仕事に忙しい日々。やりたいことがあっても、なかなか踏み出せない人も多いのではないでしょうか? 39歳で会社員からフリーランスの道へ。夫と5歳、7歳の子どもと4人暮らしをしながら、執筆活動を続けているエッセイストの清繭子さんもかつてはその1人でした。小説家を目指す日々をつづったエッセイ集『夢みるかかとにご飯つぶ』が話題の清さんに、時間の使い方や家事の工夫について、話を伺いました。

エッセイストの清繭子さん(撮影:武藤奈緒美)
エッセイストの清繭子さん(撮影:武藤奈緒美)
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「21時に寝て4、5時に起きる」超朝型生活で執筆時間を確保

やり残した家事や仕事、大事な趣味の時間。「子どもが寝たあとにやろうと考えているうちに、気がつけば朝…」というのは、母ならだれもが通る王道パターン。

子育てをしながら、次々と作品を生み出す清さんは、日々の時間のやりくりをどのようにされているのでしょうか。

「私も以前は子どもが寝たあとに小説を書いたり、noteに思いをぶつけたりしていたんですけれども、やっぱり子どもと一緒に寝落ちしちゃうんですよね。それに、子どもが私と一緒にいると、楽しくなっちゃってなかなか寝てくれなかったりもして」(清さん、以下同)

そこで清さん、最近は朝型生活に変えたそう。

「夜9時に子どもと一緒に寝て、4時か5時に起きて小説を書いています。超朝型ですね。加齢のせいもあるかもしれませんが、目覚ましアラームをかけなくても、目が覚めるようになって。さらに、小説応募の締め切りが近いと、寝過ごす不安から2時とか3時に起きてしまいます。睡眠の質は悪そうですね(笑)」

朝型にシフトしてよかったことは、「SNSが盛り上がっていないこと」だそう。

「なにかの炎上も鎮火したあとなので、気にせずすぐに小説の世界に没頭できます。人からの連絡も来ないので、執筆に専念できるのもいいですね」

早く寝る秘訣についても教えてもらいました。

「スマホの充電器を寝室とは別にある書斎に置いています。布団のなかでネットショッピングをしちゃうみたいなことがなくなりました。物理的にスマホを離すのがよかったですね」

人生の選択で大切にしているのは「挑戦すること」

作業中の清繭子さん

40代になるタイミングで、新卒から勤めた出版社をやめて、ライターに転身という大きな決断をした清さん。安定した「会社員」というポジションから離れることに不安はなかったのでしょうか?

「人生は一度きりなので、できるだけ『こっちの方がおもしろい人生になりそう』と思った方を選ぶことを心がけています。だれかから見た成功や立派な功績は、その一瞬の喜びは大きいかもしれませんが、人生は点じゃなくて線ですよね。だから、なにかを成しとげたということより、その過程や『挑戦した事実』を大事にしたいと考えました」

そう語る清さんの好きな言葉は「見る阿呆に踊る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃそんそん」だそう。

「もちろん不安もありましたが、会社を辞めて、筆1本で食べていくのもおもしろそうだと思いました。もしこのまま小説家になれなかったとしても、おばあちゃんになったときに『なんにもならなかったけどおもしろかったな』って思えるはずだ、と。40歳直前に会社を辞めて、40歳の誕生日に開業届を出したんですけど、それも老後の武勇伝になるかなって(笑)」

現在は、小説執筆と並行して、インタビュアーとしても活動する清さん。インタビュアーの仕事を「社会科見学のよう」と語ります。

「インタビュアーのおもしろいところは、いろんな人に会いに行って話を聞けるところ。タレントさんや作家さんに直接話を聞けるので『社会科見学』みたいです。なにかを極めた人というのは、どんな分野でも本当に話が面白くって。私が聞かせていただいたんだから、私にしか書けない原稿にしよう、という気持ちで仕事をしています」