寂しくない老後を送るためのヒントを紹介します。フランス人の夫と暮らし、文化についても詳しいエッセイスト・ペレ信子さんは、この夏にフランスの夫の実家に行ったそう。義父は昨年、義母が亡くなってからひとり暮らしだそう。「失った寂しさはあるものの、前向きに忙しく暮らしている姿に安心し、感銘を受けました」とペレさん。フランス流の人に囲まれて過ごす老後の暮らし方についてレポートしてくれました。

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億劫(おっくう)がらずに出かけてみましょう
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自分で自分の誕生会を企画して招待する

誕生日会

この夏、夫の叔父の80歳の誕生会がありました。直前まで少し体調を崩していた叔父でしたが、誕生日が近づいてくると自分から誕生会の企画をして、招待してくれる、と連絡がありました。

フランスでは自分の誕生会をだれかが祝ってくれるのを待たず、自分で企画して人を招待することがあります。もちろんほかの人が秘密で企画してくれればそれに越したことはないのですが、密かに期待してなにもしてもらえなかったときのショックは大きいもの。

それよりも「私の誕生日だからみんなを招待します」とあっけらかんと人を誘うのがフランス流。もちろん、体力的、経済的限界がありますので、ごちそうを振る舞おうと考えずに「バースデーケーキだけを買っておくので食べに来てください」というスタンスです。

そんなときには、招待された側もなにかお菓子やつまむものを持参したくなりますので、結局簡単な持ち寄りパーティになり、みんなで楽しめる会となります。

誘われたら少し遠くても思いきって出かけてみる

建築

歳をとると出かけるのが億劫(おっくう)になると聞きます。夫の父も昔は旅行好きでしたが、義母が亡くなってから出かける機会がさらに減ってきていると感じます。義父自身もそんな日々をどうにかしなければと思っていたそうです。

この夏、パリに住む義父の従兄弟から「久しぶりに顔を見せてくださいよ」と連絡が来たそう。なんとなく腰が重かったそうですが、従兄弟も男のひとり暮らし。思いきってパリの従兄弟の家に会いに行くことにしたそうです。

行ってみれば、修復工事が終わってから行きたかったノートルダム大聖堂、パリの数々の美術館など、マイペースで楽しみ、疲れたらカフェに入り、従兄弟と2人でたくさん歩いたそう。

数日でもいつもの暮らしのルーチンから抜け出せてリフレッシュに。とても楽しかったそうで、味をしめて、この秋はスイスの知り合いを訪ねる予定があるとうれしそうに話してくれました。