ご自宅に窓や扉のない「なにもない壁」はありますか? 一見地味に見えるその壁、じつは使い勝手や心地よさを左右する大切なポイントです。今回は、ESSEフレンズエディターで住宅デザイナーの御園生梓さんが、「なにもない壁」の効果と、ご自身の失敗から得た気づきをお伝えします。

憧れのマイホーム、建てたあとに後悔したことを伺いました
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30代でマイホーム購入も…建てた後に後悔したこと

私は33歳のときにマイホームを購入しました。建売住宅になる予定の土地を買うことができたため、建築条件つきで間取りを変更できるチャンスがありました。

アウトドア派のわが家は、「自然光をたっぷり取り入れた、開放的で明るい家」をテーマに、どの部屋もできるだけ多くの窓をつけました。

すると明るい家は叶ったものの、暮らし始めてから「家具の配置が難しい」「季節の飾りを置きにくい」など、不便さが次々と出てきました。

その原因のひとつは、「なにもない壁」がほとんどなかったこと。窓や扉、つくりつけの収納など、家じゅう探しても、唯一あったのは子ども部屋の一面だけでした。

「なにもない壁」がもたらす3つのメリット

御園生さんの自宅の間取り図
LDKの間取り図

窓や扉のない壁は、一見つまらなく感じるかもしれません。しかし、暮らしやすさに直結する機能をもっています。

まず、家具や家電の配置が自由になります。窓があると背の高い収納やサイドボードを置く場所が限られますが、「なにもない壁」があればその制限がなくなります。

また、壁面全体をディスプレースペースとして使えるため、空間を効率的に活用できます。ライフスタイルが変わったときに、デスクや収納を追加することも可能です。

さらに、断熱性や防音性にも優れます。窓がない分、外気や騒音の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かい空間を保ちやすいのです。