毎日の食事、できればしっかり味わって食べたいですよね。栃木県の益子で55歳から69歳までカフェ「猫車」を営み、現在はひとり暮らしをしている信田良枝さん(70代)もそのひとり。今回は、日々食事の時間を大切にしている信田さんが実際に食べているものや、食事の習慣で意識をしていることについて教えてもらいました。
※ この記事は『77歳 365日の紡ぎ方: 益子暮らし、元カフェ店主 信田良枝さんの居場所 』(主婦と生活社)より一部抜粋、再構成のうえ作成しております
すべての画像を見る(全3枚)夜のひとり時間は“愉(たの)しむ”ことを最優先
夕焼けに染まる空を見て信田さんは言います。
「ミシンを踏んでいて、あたりが暗くなってくると、あぁもうやめようと、服づくりをきり上げます。仕事の終わりは、時計では決めないんです」(信田さん、以下同)
コーヒーを飲んでひと息。猫のネルちゃんと一緒に庭巡りを楽しんだら、「『今日はなにをアテにチビチビやろうか?』などと考える。これだから隠居暮らしはやめられません(笑)」
入浴は夕食前。なんと電気を消すときも。「窓をあけると、夜のにおいと森のざわめきが急に入ってきます。まるで温泉につかっているようで癒やされる。薄暗い浴室はとにかく落ち着きます。オススメですよ!」
「朝食をおいしく食べたいから」と夕食はあえて軽めに。たいていはお昼の残りをアレンジしたものでお酒を少々。たとえば、漬物(大根、ニンジン、キュウリ)をライスペーパーと韓国のりで巻くだけで、立派なおつまみになります。
チーズとジャムしかない日は、ひと口大に切ったパンにのせてカナッペ風に。プラス本とワインがあれば完璧! だとか。キーマカレーにトマト缶を加えて温め、ゆでたジャガイモにかけることも。
「『夕食はきちんとしなきゃ』と、以前の私なら、疲れていてもがんばっていると思います。でも今はひとり。“愉しむ”ことを中心に夜の時間を考えています。人生の前半は家族のため、後半はカフェのお客さんのために料理をつくってきて、ひとりごはんは特別おいしいものである必要はないと考えています」
「食後はなるべく家事をしたくない」と、洗い物や片付けは調理の際にすませます。食べ終わった器をチャカチャカ洗えば、はい、終了。タブレットを持って自室に向かいます。YouTubeで朗読を楽しんだり、好きなパーソナリティのラジオを聴いたり。
「お風呂に入ってごはんを食べて寝る。決めているのはそれだけです。あとは、その日任せに好きなことを。よく眠れ、翌朝シャキッと目覚めます」