治療法その2:漢方

漢方
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HRTが体質的にできない、またはしたくない人が選びたいのは、多くの人に好まれる漢方です。漢方には、体の中の「気・血・水(き・けつ・すい)」が過不足なくスムーズに流れているときこそ健康な状態であるという考えがあり、その流れを整えて、不快な症状をやわらげるとされています。

漢方薬は数多くあるので、このあと紹介する漢方ではっきりとした効果を感じられない場合は、医師に違う漢方薬がないか相談をしてみましょう。私は症状に合わせて30種類ほどを使い分けています。

なお、更年期に使われる代表的な漢方薬は以下の3つです。いずれもいくつかの生薬が配合されているため、一種類の漢方薬でも複数の症状に効きます。

●加味逍遙散(かみしょうようさん)

自律神経の乱れを整え、イライラや不安といった精神不安をやわらげる働きが。また不眠、疲れ、肩こり、冷えにも効果的。

●当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

体力がなく、疲れやすく冷えやすい人に向きます。更年期に多いめまい、頭痛、足の冷え、むくみに悩む人にも。

●桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

血の巡りの悪さからくる、さまざまな症状を緩和します。頭痛、冷え、のぼせ、疲れなどにも。

治療法その3:エクオール含有サプリメント

エクオール含有サプリメント
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更年期症状を和らげることで広く知られているのが、大豆由来の成分からできた、エクオール含有のサプリメントです。サプリメントは食品に分類されるため「本当に効果があるの?」と思われがちですが、エクオールに関してはエビデンスに基づいた効果が期待されます。

エクオールが得意とするのが、手のこわばりといった関節症状、悪玉コレステロール値の改善など。ホットフラッシュがそれほど強くない方で、HRTに抵抗がある方にとっては、選択肢のひとつになります。

また、植物由来のエクオールは乳腺組織にはむしろ抑制に作用すると考えられているため、乳がんの既往がある方も検討できるとされています。ただし、大豆アレルギーをもつ方は飲むことができません。

番外編:話題のプラセンタは、人によっては試してみる価値あり

プラセンタ(胎盤抽出成分)
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効果に個人差はありますが、プラセンタ(胎盤抽出成分)も一部で注目されています。

プラセンタに含まれるアミノ酸や抗炎症物質などが効果をもたらすと考えられていますが、有効成分が完全に解明されていないことから、取り扱っているクリニックは限られています。

ただ、更年期の治療に使用される「ヒト胎盤由来のプラセンタ」は医療品で、保険適用になっています。また、美肌効果も期待して取り入れている方もいます。実際に効果を感じている人は一定数いるので、試してみる価値はあるかもしれません。

ただし、注射をした方は、その後献血ができなくなるといった注意点もあります。

治療法は、最初から「これ」と決めなくてもいい

医師に相談する患者
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これはどの治療法においても言えることですが、その選択は医師との対話を通じて自分自身が決めるものです。

近年では、医師と患者で最善の治療法を見つける「共同意思決定(SDM)」という考え方があり、何度も医師と患者間で相談して治療方針を決めることが重要です。

HRTは比較的わかりやすい効果がありますが、すべての方が最初からHRTを選べばいいというわけではありません。

たとえば、「HRT、とりあえず2週間だけ試してみようかな」、「漢方を試してみて、それでもあまりよくならないならHRTにトライしよう」、「まずは気軽なエクオールのサプリメントから試してみよう」というように、自分にしっくりくる治療法から選んでくださいね。

※ 更年期の症状の感じ方、対処法は人それぞれ異なります。ご自身の体調に不安がある場合は、早めに医療機関を受診してください