夫婦2人で築35年の賃貸マンションで、ものを厳選してすっきり暮らす、深尾双葉さん。自分の半身とすら感じていたオープン棚を手放すまで、ずいぶんと長い葛藤があったそう。手放すことを決めるいあたり、どうやって折り合いをつけたのか、詳しく聞いてみました。

※ この記事は『ほんとうの豊かさに出合うための9週間 』(KADOKAWA刊)に掲載された内容を一部抜粋・再編集しています

棚
寝室に置いていた大きなオープン棚
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自分の暮らしの象徴だった「オープン棚」

YouTubeの動画を見てくださっている方は覚えているかもしれませんが、以前は寝室に大きなオープン棚をもっていました。マス目状になった、自分の背丈をゆうに超える古い大きな棚でした。

どこかのだれかが日曜大工でつくったような、素朴な魅力もありましたし、自分のお店で使っていたものなので思い入れもありました。視聴者の方たちからの反応もよく、あの棚が自分の暮らしを象徴しているような感覚になっていました。

ただ、オープン棚なので布団から出るホコリがたまりやすく、背も高くマス目状なので、16個ものマスを1つずつふく必要がありました。

さらに器やオブジェなどをディスプレイしていたので、掃除に追われる日々。サイズが大きいので簡単に移動ができないというのもネックでした。

「手放したい」という気持ちと、「でも、なくなったら視聴者さんをがっかりさせてしまう」という不安とのジレンマに陥っていました。自分自身がなくなってしまいそうで怖くて、強い執着がありました。

さらに、地震が起きてからは、寝ているときにいつか倒れてくるのではという怖さもありました。そして不要なものを次々と手放していったことで、ついには棚に飾るものがなくなり、このオープン棚はようやく、この家での役目を終えたのだと、手放す心づもりができました。