ジョージアに欠かせないパンの香り
すべての画像を見る(全9枚)ジョージアの日常に欠かせないのが「パン」。街を歩けば、ガラス戸の向こうに小さな窯を構えるパン屋がいくつも並んでいます。
窯からは次々と、ナンのような形のパンが焼き上がり、香ばしい匂いが通りにあふれ出してきて…気づけば立ち止まり、つい買ってしまいます。
手にしたパンは顔より大きく、ほんのり塩気が効いていて、そのままかじると幸せなおいしさ。
夕暮れどき、ビニール袋に入れたこのパンを片手に、地元の人たちと同じように並んで歩くと、「ここに仲間入り」ができたような実感がわいてきます。賑やかなエリアもステキですが、裏道の素朴さに、私はあっという間に心をつかまれました。
言葉が通じなくてもいい、異国で暮らす醍醐味
観光客の多い飲食店では英語で話しかけられることが多いですが、小さなスーパーやパン屋では、ジョージア語一択。
言葉が通じない国で暮らすという挑戦は、3年前に十分経験しました。あの頃は、背中に汗がにじむほどの緊張で、母国語以外を口から発することに、大きな勇気が必要でした。
でも今は、そんな硬さもどこへやら。「なにか言ってみて、通じたらラッキー。外れてもまあいいや」と、思えるようになりました。
身振り手振りでやりとりする路地裏のひととき。通じないはずの会話が、なぜか心だけはちゃんと通じてしまう。そんな瞬間こそが、異国で暮らす醍醐味なのかもしれません。
新しい暮らしは小さな冒険の積み重ね
ジョージアでの買い物は、試行錯誤の連続です。スーパーでは値段が店ごとに違い、市場では「桃2つね!」と言ったつもりが、気づけば袋いっぱいに盛られてしまう。でも、パン屋では、奥の窯にまで案内してくれた店主と、言葉が通じないまま友達のようになりました。
毎日が「初めて」の連続。そのたびに、ちょっとした失敗と一緒に、人の優しさや新しい発見に出会います。
今日もまた、あのパン屋の店主に手招きされるかな…。新しい味を試してみようかな…。人生の後半に、こんな「初めての日常」が味わえることを、今、改めてうれしく感じています。