画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん(76歳)。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしながら、月4万円の年金で生活しています。今回は、小笠原さんが節約しながら暮らしやインテリアを楽しむ様子を紹介します。

小笠原洋子さん
小笠原洋子さん(76歳)の、快適で幸せなひとり暮らしをつくるものとは?
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マット類・カーテンはなし。節約はもちろん掃除もラク

掃除をする小笠原さん

私の住まいには、カーペットやマット類がありません。もちろん節約のためですが、ものをこぼしてしまったり汚れた足で触れたりする敷きものを、頻繁に掃除・洗濯する手間より、直接床を掃除することに努めています。

またバスマット代わりには、たびたび洗えて乾きが早いタオルを用いています。玄関マットはなんのため? よくわからないのでわが家にはありません。

小笠原さんブラインド

わが家は、道路に面している1か所以外にカーテンはなく、紙のブラインドを用いています。高齢者になった今、布製のカーテンは洗濯に手こずるため、ローリングのブラインドを用いているのです。

こんなふうに、できるだけお金をかけず、整頓しやすく、なお自分で好ましいと思う室内空間づくりを心がけています。

キッチン・ダイニングも必要最低限のものがあればいい

小笠原さんとキッチン

それにしてもゴージャスなシステムキッチンや、ロココ調の布張り子が並ぶようなダイニングルームは、多くの人の憧れですよね。でも年金暮らしの私の住まいは、簡素極まりない炊事場と食卓です。

台所には冷蔵庫はありますが、炊飯器やオーブントースターなど調理台を狭める道具はもっていません。冷蔵庫の上に、母が遺した電子レンジがのっている程度です。それなのに、台所に立つことと、小さなテーブルでひとり食事をするのは76歳になった今も、とても楽しいことです。

小笠原さん

また私の食卓は、書斎として使用しているリビングの片隅にあるのでとても狭い空間ですが、向き合う方向が野外の草原と林のため、とても広々と感じられます。