2:相手に寄り添う。価値観を押しつけず、相手を理解しようとする

以前、実家を訪れたときのこと。家の中のものの多さが気になって、つい「片づけた方がいいよ」「これもういらないでしょ」と母に言ってしまいました。すると母は「私の家なんだから、もう放っておいて!」と声を荒らげ、言い合いに発展してしまったのです。

「片づけよう」という気持ちになってほしくて言ったはずの言葉が、母にとっては責められたような気持ちになったのでしょう。結果的に母の心のシャッターを閉じさせてしまい、逆効果となってしまいました。

「この言い方は間違っていた」と反省した私は、それ以降、「手伝うよ」「なにか困っているところはある?」と、母の気持ちに寄り添った声かけを意識するようにしました。たとえ私が「これはもう不要だろう」と思うものがあったとしても、まずは「どうしたい?」と母の気持ちを尊重することを優先するように。

すると、母の態度に少しずつ変化があらわれ、片づけが進むようになったのです。否定的な言葉ではなく、寄り添いの言葉を使うことで「この人は自分の気持ちを分かろうとしてくれている」という安心感が生まれ、母自身が前向きになったのだと思います。結果として、その方がずっとスムーズに進められるのだと実感しました。

家族のように身近な相手には、ときに遠慮がなくなってしまい、自分の価値観をそのままぶつけてしまうことがあります。ですが、夫婦であっても、親子であっても、別々の価値観をもつひとりの人間同士。自分の考えを押しつけるのではなく、相手の価値観を理解しようとする姿勢がなにより大切です。

たとえ「片づけてくれない」と感じたとしても、もしかしたらそこには、その人なりの事情や背景があるのかもしれません。「なぜ片づけられないのか」を相手の立場で考えてみることが、家族と心地よく暮らすための第一歩です。

●片づけられない家族と、どうかかわる?

<NG>自分の価値観を押しつける

片づけてよ
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散らかっているとイライラする、片づけてほしい

相手は心を開きにくくなる

相手はますます片づけない

<OK>相手に寄り添う

最近忙しくて時間ないよね。片づけ手伝うよ

片づけられないのはどうしてだろう、一緒にやろう

相手は心を開きやすくなる

相手は片づけに前向きになる

夫婦でも親子でも別のひとりの人間です。共感と寄り添いから始めましょう。

かおるこさんの著書『元小学校の先生が教える いちばんやさしい 片づけの授業』(サンクチュアリ出版刊)は、片づけに挫折しない考え方や整理・収納方法についてわかりやすく紹介しています。本のメゾットに沿って家を片づけたモニターからは、リバウンドしなくなったという声も!

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