仕事と育児の向き合い方や、「小1の壁」といった悩みは、働く母親にとって避けて通れないもの。しかし考え方を少し変えると、より自分らしく、前向きな気持ちで子育てと向き合えるかもしれません。今回は、ライター・エッセイストとして活躍しながら、14歳の息子さんを育てるシングルマザーの佐藤友美(さとゆみ)さんに、仕事と育児とバランスを取るためのコツを教えてもらいました。
すべての画像を見る(全4枚)子どもを産んで、以前よりも「できること」が増えた
仕事と育児を両立させることは、働く母親にとって大きな課題。「仕事にもっと打ち込みたいけれど、目の前の子育てに追われてままならない…」、そんなジレンマを抱える方は少なくありません。ただ、育児を通じて仕事にも活かせる新たな視点を得ることもある、とさとゆみさん。
「子どもを産む前は、できなくなることが増えるんだろうな、と思っていたんです。でも、実際は逆で、できるようになったことの方がたくさんありました。たとえば、昔の私は会話とは人を打ち負かすことだと思っていて、キャッチボールではなく全部ホームランを打つつもりで話していました」(さとゆみさん、以下同)
それが子どもとの会話では通用しなかったそう。
「子どもに『ママ、これっておかしくない?』と純粋に聞かれると、自分の都合を押しつけていただけだと気づかされたり、『ごめんね』と素直に謝れるようになったり。謝罪は仕事のミスを認めること、つまり裁判で負けるようなものだと思っていたんですけどね(笑)」
子育ては人に頼っていい。「母親にしかできないこと」を大切に
また、仕事と育児の両立に関して、よく話題に挙がるのが「ワークライフバランス」という言葉。しかし、さとゆみさんは「プライベートと仕事をあえて切り分ける必要はないと考えている」と話します。
「以前、ある女性社長にインタビューしたときに聞いた言葉ですが、『ワークとライフのバランスを取って、両立しようと思うから大変なの』と。そうではなくて『私の24時間でやりたいこと、やらなきゃいけないことをやるだけ』と話していらしたのが心に残っています」
これをきっかけに、さとゆみさん自身も子育てにおいては「絶対に自分にしかできないこと」を考えるようになったそうです。
「たとえば、料理や掃除、本の読み聞かせはほかの人にしてもらうこともできますが、『ママはあなたのことが大好きで、本当に大事に思っている』と子どもに伝えることだけは、母親である私にしかできない。それ以外のことはどんどん人やものに頼っていいと思うんです。お総菜を買ってきたからといって、愛情が減るわけじゃないと思うんですよね」

