視界がぼやける、物が二重に見える…それは加齢による老眼だけでなく、視野が欠けていく病気「緑内障」の初期症状である可能性も。自分や家族が緑内障を発症してしまったとき、正しい知識を身につけておくことで、いざというときに困ることも減り、日々の生活も快適になるかもしれません。今回、緑内障に関して知っておきたい情報を、二本松眼科病院・副院長の平松類先生に詳しく教えてもらいました。
すべての画像を見る(全4枚)コンタクトレンズは目の表面を傷つけやすいので要注意
緑内障の患者さんには、なるべくメガネを使用するようにおすすめしています。
コンタクトレンズは、どうしても目の表面を傷つけやすいというリスクがあるからです。緑内障の目薬を使い続けていると、目の表面が荒れやすくなるため、コンタクトレンズよりもメガネのほうが無難ということになるのです。
もちろん、コンタクトレンズの使用が絶対ダメだというわけではありません。
長時間の使用は避ける、違和感や異物感(目がゴロゴロするなど)があったら使用を止める、使用する期間をきちんと守る、主治医にコンタクトの使用を伝えるなどをクリアしていただければOKです。
カラーコンタクトは、酸素透過性が低い素材で目が酸素不足になる、レンズのカーブがきつく角膜の変形をまねくなど眼の障害が起きやすいので避けましょう。
また、治療法によっては制約があります。目薬によってはコンタクトレンズをしたままでは点眼することができなかったり、手術によっては使用できなくなることもあります。
ただし、目にトラブルが発生した場合に、いつでもコンタクトレンズを外せるようにメガネも1本は持つようにしてください。
メガネのレンズ選びにもいくつか注意点があります。
遠近両用メガネは便利なものの、普通のメガネよりも見え方の質が低く、視野が欠損している人が使うと脳で補っていた部分が見えづらくなり、不調や違和感を覚えやすくなります。近視用と老眼用の2つのメガネを用意したほうがよいでしょう。
また、メガネのレンズは、広く視野をカバーできる大きめのものを選ぶとよいでしょう。
●豆知識1:コンタクトレンズを使用できなくなる手術も
主流の手術でもっとも効果が高いトラベクレクトミー(線維柱帯切除術)や、最新の手術であるアルコンエクスプレス(R)などの手術を行うと、基本的にはコンタクトレンズの使用ができなくなります。
「紫外線カット機能」は目の負担を軽減してくれる
紫外線は、とても強いパワーを持っています。この強い光が目から入ると、緑内障だけでなく、白内障や加齢黄斑変性など、多くの目の病気を引き起こす原因となります。
つまり、視神経へのダメージを減らすために緑内障の患者さんがサングラスを使用するのは賢明だといえます。
サングラスの色の濃度と紫外線カットの効果は、まったく関係ありません。
また、ある程度高めの価格のメガネやコンタクトレンズにも紫外線カットの機能は入っているので、おもちのものが該当する場合は、無理にサングラスを使う必要もありません。
いずれにせよ、サングラスやメガネ、コンタクトレンズを購入する場合は、紫外線カットの機能について確認するようにしてください。
さらに紫外線をカットしたい方は、目の病気について積極的に取り組んでいるメガネ屋さんで、効果の高い遮光メガネを購入するとよいでしょう。
スマートフォンやパソコンから出るブルーライトは、入眠を妨げるリスクがありますが、最近の研究では、ブルーライト自体は緑内障に悪い影響はなく、目への影響が少ない光ということがわかってきました。就寝前や長時間の使用を控えれば、なにも問題はありません。
●豆知識2:「遮光メガネ」の効果はどれくらい?
遮光メガネは、まぶしさの原因となる紫外線とブルーライトだけを効果的にカットし、そのほかの光線はよくとおすため、光線全体を抑えるサングラスよりも視界が明るく、くっきりと見えます。