両親の病気や介護、引っ越しなどをきっかけに着手することも多い「実家の片づけ」。ここでは実家が空き家になったことで片づけを始めたライフオーガナイザーの尾花美奈子さんのお話を伺いました。
すべての画像を見る(全9枚)空き家になった実家に多く残ったものと生前整理の大切さ
急遽介護施設へ入居することになった70代の母。既に父は他界してひとり暮らしでしたので、娘の私が入居準備をすることになりました。実家のものの把握を母しかしていなかったために準備は大変でした。今回はその後、空き家になった実家を片づけたときに大変だったことと、そこから感じた生前整理の大切さについてお話したいと思います。
●施設へ入居したら終わりではない。空き家の片づけが待っている
施設へ持って行ったのは当面必要なものだけでしたのでいずれ追加で持って行きます。それがすんで、母の新しい暮らしに必要なものがひと通りそろったら実家を売却する方向で片づけを始めました。
まず最初に感じたのは「ものの多さ」です。母は整理整頓が得意な方でしたのでひどく散らかったようには見えません。でもそれは家が広いために収納できていただけで、40代の私から見れば「こんなに持っていたの?」「まだあったの?」と驚きとため息の連続でした。
「もったいない」と言ってなかなか捨てられない世代ですから、自分が使っていなくても今後使う予定がなくても、ものとして使えるならとっておきたがります。
●整理整頓上手の母でも手放せなかった3大アイテム
とくに多かったのが「服」「食器」「古い家具」の3つでした。
(1) デザインもサイズも合わない服はまさにタンスの肥やし
母の収納にはサイズが小さい服やデザインが若すぎる服が結構残っていました。タンスに畳んで収納していたため確認しづらかったのかもしれません。また筋力の低下により重く感じるようになった服も着なくなっており、それらを除くとかなりの枚数が減りました。
残った服はクローゼットだけで収納できてしまいました。もっときちんと整理をしていれば、タンスが不要になって安全性も増したはずと少し残念に感じました。
(2) ひとり暮らしには多すぎる。危険性も含む食器
服に続き世代を問わず女性が集めてしまうのが食器ではないでしょうか。母もそうでした。ひとり暮らしになったからといって減らすのはやはり悩むでしょう。もったいないと思う気持ちも強いでしょう。手先の力が弱くなれば食器を整理するのがむしろ危なくなり、仕方ない面もあります。
でも、だからこそもっと早いうちに整理をしていれば、古くてガタつく食器棚も手放せて不安も消えたのではと思います。