赤ちゃんから大人まで、幅広い年齢層で発症する可能性のある脊髄性筋萎縮症(SMA)という病気を知っていますか? 乳児期に発症するケースでは、およそ人口10万人に1~2人とされる遺伝性の希少疾患で、脊髄にある筋肉を動かす細胞(運動神経細胞)の働きが変化し、手足などの筋肉が弱くなっていく病気です。病気の詳しい症状や、早期発見のために知っておきたいことは?
※ この記事は中外製薬の SMA情報サイト「With your SMA」に基づいています
赤ちゃんから大人まで発症する可能性があるSMA
SMAは、赤ちゃんから大人まで発症する可能性がある疾患。具体的にはどんな病気かというと、「手足にうまく力が入りにくい」「支えなしで座れない」「歩きにくい」「舌先や指先が細かく震える」などの症状があらわれることがあります。
症状には幅があり、個人差もありますが、発症する年齢と最高到達運動機能のレベルによって0〜Ⅳの5つの病型に分類され、発症年齢が低いほど重症な場合が多く、進行していきます。
医療の現場では、早期に発見して治療することで、発症や進行を抑えることが目指されています。
また、SMAは遺伝子の変化により、筋肉を動かすために必要な「SMNタンパク質」が不足することが原因で発症するといいます。乳児〜小児期に発症する患者さんの割合はおよそ10万人に1〜2人とされ(※)、1歳半までに発症する患者さんが大半です。
※ 小児慢性特定疾病情報センター.42 脊髄性筋萎縮症. https://www.shouman.jp/disease/details/11_18_042/, (2024年12月3日閲覧)
新生児スクリーニングで早期の発見と治療を
そこで、SMAを早期に発見し、治療や生活指導につなげるために知っておきたいのが、「新生児スクリーニング」。
新生児スクリーニングは、一般的に生後4〜6日の赤ちゃんのかかとから少量の血液を採取して実施。陽性だった場合は専門病院で遺伝カウンセリングを受け、詳細な検査を受けてSMAと確定診断されれば、すぐに治療を開始します。
上の[図表]のように、SMAの薬による治療は、開始した時期やそのときの体の状態によっても効果が異なります。
治療薬の効果を最大化するためには、できるだけ早く治療を始めることが望ましく、新生児スクリーニングをきっかけに発症前から治療を始めた患者さんは、歩くことを目指せる世界になってきました。
もっと知りたい、SMAのこと
ここでは、より詳しい症状や、疑わしい症状がある場合はどうすればいいのかなど、SMAの気になる疑問に答えます!
●Q1 SMAが発症すると、どんな症状があらわれますか?
A:筋力低下を中心に、SMAそのものの症状と、SMAがもとになって引き起こされる合併症の症状がみられます。症状とその程度は、病型や患者さんによってさまざまです
・SMAそのものの症状
支えなしで座れない、うまく歩けないといった運動機能に関する症状のほか、手や足などに力が入らず動かしにくい、下や指先が細かく震える、泣き声が弱いといった症状があらわれることがあります。
・SMAがもとで引き起こされる症状(合併症)
呼吸に関する症状、食べ物や飲み込むことに関する症状、体の動きや姿勢に関する症状などがあります。
●Q2 SMAかもしれないと思ったら、どこに相談すればいいですか?
A:SMAが疑われる症状があれば、早めに専門病院の受診を。症状からの判断が難しい場合や専門病院がわからない場合は、近くの小児科や神経内科などに相談しましょう
●Q3 家族がSMAを発症した場合、自分もSMAになる可能性が高いですか?
A:SMAは遺伝子に原因があることがほとんどですが、SMAの患者さんのきょうだいや親子が必ずSMAを発症するわけではありません
子どもは両親から1つずつ遺伝の情報を受け継ぎますが、たとえば、SMAを発症していない両親であっても、SMAの原因となるSMN1遺伝子になんらかの変化のある遺伝情報を持っている保因者同士である場合、その子どもは25%の確率でSMAを発症します。
そのため、SMAの患者さんのきょうだい全員が必ずしもSMAを発症するとはかぎりません。
創業100周年を迎えた中外製薬が今、力を入れていること
SMAの早期発見と治療に取り組んでいる中外製薬。希少疾患であっても、患者さんと家族はひとりではありません。
中外製薬は、関東大震災による医薬品不足をきっかけに「世の中の役に立つ薬をつくる」という思いで1925年に創業し、今年で100年。「患者中心の高度で持続的な医療の実現」を目指し、独自のサイエンスと技術を磨き続けています。
その一環として、SMAをはじめとした、日本国内におけるさまざまな病気やその治療に関する「研究活動」「研究・啓蒙活動」「患者団体への支援」「教育助成」を行なっており、今後も研究や支援が継続されていくそう。
いま、私たちにできるのは「知ること」。そして、必要な人へつなぐこと。未来に向けて、一緒にできることを考えていきましょう。
問い合わせ先:中外製薬(https://www.chugai-pharm.co.jp/)





