●義足でファッションを最大限楽しむ!
義足ファッションも、義足のうえからシリコン製のカバーをつける「リアルコスメチック義足」の登場で、ミニスカートやハイヒールも履けるようになり、自身の好みの柄やクリスタルで装飾できる義足など、楽しみ方の選択はどんどん広がっているそう。
すべての画像を見る(全9枚)「服と自然に調和するものから、主張の強いものまで、近年、選択肢が大きく広がりました。私がイラストレーターということもあって、義足の柄とかを考えるのはとても楽しいです。一緒につくる義肢装具士の臼井さんは義足の技術はもちろん、美術部出身で美的センスもとても良いんですよね」
義足の女性たちがモデルを務めるファッションショー。このファッションショーは臼井さんが「多くの義足の可能性を知ってもらう機会にしてもらいたい」と企画をし、須川さんも参加しています。
「最初のきっかけから分かるように、義足のファッションにはずっと興味を持っていて10年ほど前から、臼井さんとの企画で少しずつファッションショーなどもやるようになりました。ショーを始めた当初は義足をむき出しにすることに抵抗感がある人も多く、義足はあくまでかくすものと扱われることも多かった印象です」
「それが、義足の進化と東京2020パラリンピックの誘致などで世間の目も変わってきて、より誇らしく、自身を表現できるようになりました。それは私たちが続けてよかったなって思うことのひとつです。小さな規模からスタートしたものが、私たちが主役のショーができるようになって…2020年には無観客オンラインファッションショーとして高輪ゲートウェイで大々的に行い、いよいよ時代が追いついてきたなと思いました(笑)」
臼井さんとカメラマンの越智貴雄さんが取り組む「切断ヴィーナス」プロジェクトでは、義足で輝く女性たちの魅力をファッションショーや写真集などで発信。11月1日には2冊目となる写真集も発売しました。
この写真集には須川さんのほかにも、東京2020パラリンピックの陸上競技に出場した前川楓さんや東京2020オリンピック閉会式と東京2020パラリンピック開会式に出演したファッションモデルの海音さんなど、さまざまな義足や義手を使用している女性モデル27名が登場。義足や義手をファッションツールとして楽しんでいるシーンがたくさん映し出されています。
●新しいきっかけ・感動をつくる活動を
最後に臼井さん・須川さんお二方に今後の夢をそれぞれお聞きしました。
「10年ほど前に行ったドイツでの体験が忘れられないんです。どこに行っても、バスとか公共交通機関が義足・車いすユーザーに使いやすく、普通の市民との境がありませんでした。自然な共存関係がとても心地よく、義足ユーザーがまだ特別な存在の日本との違いを強く感じました。義足だけが進化しても、人の意識や社会、建造物が変わっていかないとこうしたバリアフリーの社会は実現できないと思うんです」(須川さん)
「人間誰しもが老いて行くし、これからは超高齢化社会です。今はなんでもできる人達が、いつ不自由な思いをするかは分かりません。家族や愛する人を思うように、誰しもが義足や、バリアフリーのことを思い、社会が変わって行ってほしい。私たちの活動が、そんなことを想像するきっかけになればいいなと思っているんです」(須川さん)