ついやってしまいがちな夜更かしですが、十分な睡眠をとらないことは体や脳に様々な悪影響をおよぼすといいます。今回は脳神経科学、神経生理学を専門とする、お茶の水女子大学 助教・毛内拡さんに、睡眠が大切な理由と、質の高い睡眠をとるためのポイントについて教えてもらいました。

※ この記事は『自分をつくる脳の仕組み』(オレンジページ刊)に掲載された内容を一部抜粋・再編集して作成しています

※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
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睡眠は脳のお掃除タイム

徹夜や夜更かしをしたとき、「なんだか頭がぼーっとするな…」と感じたことはありませんか。じつは眠らずに過ごすことで、脳や体にはいろいろな影響が出てきます。

ここでは、なぜ睡眠が必要なのか、そして眠らないとどうなるのかを一緒に見ていきましょう!

●眠らないと、大切なことを忘れやすくなる

まず、睡眠中には脳の中で「記憶の整理」がおこなわれています。昼間に覚えたことや体験したことは、寝ている間に整理され、必要なものだけが長期記憶として定着していきます。

もし眠らずにいると、この作業がうまくできず、大切なことほど忘れやすくなります。だから、テスト前に徹夜で勉強しても、「覚えていたはずなのに…」となってしまうわけです。

また、睡眠は脳の「お掃除タイム」でもあります。起きているあいだ脳はさまざまな情報を処理する過程で、不要な物質や疲労のもとを貯め込みますが、深い眠りの間にそれらを排出しています。眠らないままだと、このお掃除ができずに、脳の中に「ゴミ」がたまってしまうのです。

覚醒状態が長く続くと、思考力や判断力も低下します。朝起きたばかりのときよりも徹夜明けの方が、ミスが増えたり集中できなかったりするのは、脳が疲れて注意を向けにくくなっているからです。実験でも、眠気が強い人ほど反応が遅くなり、危険を避ける能力が落ちることがわかっています。

●睡眠不足が病気につながることも

さらに、睡眠不足は気分にも大きく影響します。イライラしやすくなったり、なんとなく不安になったりするのは、感情をコントロールする脳の部分が、しっかり休めていないからです。その結果、気分が不安定になり、友達との関係がギクシャクしたり、家庭でもちょっとしたことでケンカになったりします。

もっと長い間眠らない状態が続くと、今度は体にも影響が出てきます。免疫力が落ちて風邪を引きやすくなったり、けがが治りにくくなったりします。これは睡眠中に分泌される成長ホルモンや、体を守るホルモンがたりなくなるためです。また、血糖値を調整するホルモンのバランスも崩れ、太りやすくなったり、生活習慣病につながったりするリスクが高まることもあります。