身近な人が亡くなることは、だれにとっても生活に大きな影響を与える出来事です。フランス文化研究者で、フランス人の夫と暮らすペレ信子さんは、1年前の秋に義母を亡くしました。1年、義母がいない暮らしをしてきたなかで、家族のなかで変わってきたこと、義母がいたからこそできたこと、してくれていたことが見えてきたそう。そのことについて詳しくつづってくれました。
すべての画像を見る(全4枚)特別なことはなくても、ひと言かけあうのが礼儀
義母が亡くなって1年が経ちました。仏教では一周忌のタイミングですが、キリスト教徒だった義母のために、近くの教会で何回か追悼ミサが行われたようです。
追悼ミサと言っても故人のためだけに行われるミサではなく、通常の週末のミサの中で故人に言及し、想いをはせる時間が設けられたという感じです。敬けんな信者だった義母のために、友人たちが配慮してくれたミサだったそうです。
義母が亡くなってすぐ、だれに連絡するべきか決めるため、彼女が定期的に連絡を取っていた友人、知人の連絡先を夫と調べていたら、その数が膨大で驚きました。
●ときどきひと言かけ合うのが礼儀
思い起こせば、義母には毎日、昼食の後には電話、ときには訪ねてくる人が絶えませんでした。ゆっくりできなくて大変では? と思うこともありましたが、義母はその時間をとても楽しんでいたと記憶しています。
フランスでは、友達から「久しぶりになってしまってごめんなさい。もっと頻繁にご機嫌伺いの連絡をするべきなのに」と言われることがあります。知り合いが元気でいるか、特別な話はなくても「最近どうですか?」と、ときどきひと言かけ合うのが、ある年代以上の人たちの間では礼儀だと聞きました。
今でも、1人になった義父を気遣って電話をかけてきてくれる人々の多くが、生前の義母から優しい言葉をかけてもらっていた人たちだと知りました。

