親の高齢化にあたって欠かせない、実家の片付け。整理収納アドバイザーの原田さよさん(現在60代)は、実家の思い出の品を処分するにあたって「まず一歩踏み出すことが大切」だと語ります。原田さんが実際に行った母親の着物の手放し方と、そこで得た気づきについて教えてもらいました。
すべての画像を見る(全5枚)実家の片付けでとくに苦労した「着物の整理」
私の母は介護つきの有料老人ホームで暮らしています。実家は、あき家になってから数か月後に売却しました。
売却にあたり「できるところまでは自分たちで片付け、できない部分は業者にお願いしよう」と決めて進めていたのですが、その際とくに整理が難しかったのが母の着物。
先に私自身の着物を整理してその大変さを実感していたので、母の場合も時間を要するのは予想できていましたが、今回あらためて感じたのは、「人が大切にしていたものを整理するのは難しい」ということです。
母のタンスには、少しずつそろえたと思われる着物や帯、長襦袢や小物がたくさんありました。なかには仕付け糸がついたままのものや、反物のまま置いてあったものも。それらには母の思い出がしみ込んでいると感じましたが、手入れができなくなっていた状態なのがわかりました。
それでも私が忘れられなかったのは、「着ることもないから整理してほしいけれど、このまま捨てるのは忍びないのよ」という母の言葉でした。
片付けの目標を立てるポイント2つ
思い出が多いものを整理するには、まず目標を明確に立てることが大切です。感情面・現実面の2つの方向から考えるとイメージしやすくなります。
また、整理にかける期間も、「今年中に」や「来年の3月までに」などと決めた上で進めると、よりはかどるようになると思います。
●1:感情面の目標
感情面での目標は以下になります。
・自分が後悔しない片付けを目指す(母の着物であっても)
・自分が背負いすぎない、バランスを取ることも大切にする
・母の思い出の品として、自分のために写真で記録しておく
●2:現実的な目標
現実面では、このような目標を立てました。
・残す着物は、この引出しの1段分に収まるだけというように限度を決めて減らす
・着物の状態が今よりも悪くなる前に、売る・譲る・リメイクするなどして活かす(私が使えそうな数点はもらいました)
親と一緒に片付けができるなら
私の場合はひとりで片付けを進めましたが、親と一緒に仕分けできるなら、思い出話を聞きながら進めるのもおすすめです。まずは「残す候補」「譲る・売る候補」「処分する候補」に分けてみます。
親は、古い着物を残しておいても仕方ない…とわかっていてもなかなか思いきれないものなので、初めのうちだけでもその気持ちに寄り添ってあげて欲しいです。
きっと「これはお嫁に行くときに持たされたの」「これはお茶のお稽古用だった」などと話してくれるでしょう。そのうち親の方も慣れてきて、判断のスピードは速くなると思います。


