ペットの柴犬の写真をX(旧Twitter)に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第87回は「犬と妹の関係」について。

なでる妹となでられる犬
なでる妹となでられる犬
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犬と妹はずっときょうだい

妹が上海から帰ってきた。中国では十月の初めに「国慶節」という長い秋休みがあり、その間の数日を使って、犬の元に帰ってきたのだ。「ただいま」と妹がなでる手を「おかえり」と犬が受けとめた。

テーブル

その後、犬は机の下にもぐって夕ごはんを食べる妹の足元にくっついて離れなかった。海がふたりを隔てていても、犬と妹はずっときょうだい。

クルマの犬

翌日は雨だったので畑仕事はお休みし、母と妹と犬と高野山にクルマで上った。行き道の車内で私と母が1か月ほど前から麻雀を覚えたいと思っている話をした。「ええやん!」と乗っかってくれた妹が私と母を先導し、夕方に犬もいっしょにドンキホーテへ! 初心者用の麻雀セットをお買い上げ。

眠る

その夜、麻雀のルールをひとつひとつ確かめながら打つ私たちのそばで犬は舌をちょこんとのぞかせて眠っていた。年々、一日のなかで寝ている時間が多くなってきて、寝顔の写真が増えてきた。

犬の気持ちはわからないけれど、それがいい

出立

翌々日、中国に戻る妹を空港まで父がクルマで送っていく。家の前で「行ってらっしゃい」「気をつけて」とお見送りする。妹を乗せたクルマが見えなくなるまで、犬は静かにじっと見届けていた。

見送り

そしてクルマが見えなくなると、リードを握った私の手をめいっぱい引いて、犬はなぜか全速力で家に駆け戻っていくのだ。いつもいつも走って帰る。もしかして「妹は出かけたと見せかけて、今、家の中にいるかも」と探しているのだろうか。なんて、犬の気持ちはいつまでも、わからない。それがいい。

洗濯物

家に向かって駆けていく犬のそばで、妹がいた分増えた洗濯物が風にそよいでいた。

犬は家族をだれよりも甘やかしている

柿

そして今年も、柿の収穫が始まった。実りの秋到来である。収穫が忙しく大変な最中、家庭の雰囲気を和らげてくれたり、風とおしをよくしてくれたり、力をくれるのもまた犬である。畑のなかで犬の名前を呼ぶ父の声がする、通り際に犬の額をなでていく兄がいる。私だけでなく、きっと皆もそれを知ってる。

座る

6年前にinubot回覧板の第9話で書いた「犬は家族のなかでだれよりも甘えたで、家族をだれよりも甘やかしている。いつだってgood boyだ」という家族間の関係もまた変わっていない。きっとこれから先も永遠に変わることはないでしょう。