20kgのスーツケースに収める暮らし
すべての画像を見る(全7枚)スペインからジョージアへ引っ越すとき、航空券の荷物制限は20kgでした。
スーツケースに「本当に収まるかな」とドキドキしながらつめ込んでいきましたが、最終的には、体重をかけて押さえつける必要もなく、すんなり閉まり、思わずホッとひと安心。
しかし…「これなら余裕だな」と思ったのも束の間、空港で計量するとまさかの21kg! あれだけ減らしたのにオーバーしてしまったことに、思わず苦笑いでした。1kg分は手荷物とし超過料金はセーフ。衣服2パック分をビニール袋に入れて、まるで白菜を買った帰り道かのように、飛行機へ乗り込みました。
今回、思いきって減らしすぎた感覚もありましたが、それでも不思議なもので、ジョージアに到着して1か月、なにも不自由はありません。
買いたしたものはひとつもなく、むしろ「この量で十分なんだ」と実感。暮らしというのは意外と少ないものでちゃんと回るものだと、あらためて思わされています。
家具つき住居がもたらすシンプルさ
もうひとつ助けられているのが、海外の多くの住まいが「家具・家電つき」であること。ベッドも食器も洗濯機もそろっていて、入居したその日から生活がスタートできる環境です。
ただその反面、「かわいいお皿をそろえたい」「リビングを好みの雰囲気に整えたい」といった楽しみは、望めません。人を招くことも少ないので、生活は「必要最低限」のまま。
でも、この環境だからこそ、暮らしがシンプルに保たれるのだと思います。「もっと便利に」「もっと快適に」と追いかける余地がないからこそ、今あるもので十分だと素直に思い、ブレずに、落ち着いた暮らし方を続けられるようになりました。
もたない生活で得られた「安心」と「ゆとり」
「もたない生活=不便」だと思われがちですが、私が体験したのはその逆でした。少なくても暮らしはちゃんと回るし、余計なことに悩まずにすむ。荷物を減らした分、心のなかに余白ができて、その余白に安心やゆとりが入ってきたように感じます。
ものを減らすことは、自分を窮屈にすることではなく、むしろ毎日をラクにし、自分を大切にする時間を増やしてくれるのだと気づきました。
もちろん、街のショーウィンドウを見れば心が少し揺れることもあります。「最近なにも買ってないし、これくらいなら…」と誘惑にかられる瞬間も。そんなときは、自分に決めた「3つまでルール」を思い出し、新しく取り入れたら、その分は最後尾をリサイクルへ。
大切なのは「無理して減らす」ことではなく、「自分にとって必要なものを選び直す」こと。最小限のお気に入りにだけに囲まれることに、ずっと心地よさを感じるようになりました。


