イタリア・トリノでイタリア人の夫、娘、息子の4人で暮らすイラストレーターのワダシノブさん。18年間のイタリア暮らしの中で、さまざまな“当たり前”を手放してきましたが、「毎日のごはんづくりをがんばること」もその1つ。調味料の数は最低限、夜ごはんは昼の残りものですませる…。日本流・家事の常識がひっくり返る、イタリア流“手抜き”ごはん術をお届けします。最後にほっこり楽しいマンガつき!
すべての画像を見る(全5枚)日本人はごはんづくりをがんばりすぎている
イタリアで暮らすようになり、「ごはんづくりをがんばること」をやめました。こう聞くと「いや、毎日のごはんづくりなんて、もともとがんばっていないですよ。簡単なものだし、冷凍食品もあるし、総菜も買うし」と思いますよね。私もそう思っていました。
でも、イタリア人である夫の両親と同居したときに気づきました。日本のごはんづくりはとても工程が多いです。毎日、すごく手がかかることを当たり前のようにしているのです。いや、ほんとすごい。
そもそもの最初のステップ、家で使う調味料の数が違います。
イタリア
・塩・コショウ・オリーブ油・ワイン・酢
それにオプションのハーブ(オレガノ、夏ならバジルなど)。これだけ。
日本(私)
・塩・コショウ・油・酒・しょうゆ・みりん・だしの素・砂糖
と、調味料の時点でほぼ倍。さらに、わが家だとみそ、ゴマ油、オイスターソース、ワインも入ります。ケチャップとマヨネーズと中華スープの素も。冷蔵庫の棚が片付かないはずです。
これらすべてを毎日使うわけではないのですが、比べるとスタートの時点から調味料を出し、さらにそれらを測るという工程が生じています。一方、イタリアは塩コショウのみ。日本人として、しょうゆなしでは生きていけないので減らしはしませんが、調味料の数について考えるきっかけになりました。
みじん切りなし! 包丁はテーブルナイフのみ
さらに、夫の家族は大きな包丁を使いません。切る作業は、よく切れるテーブルナイフのみ。当然のことながら、細かなみじん切りや薄切りをするレシピはありません。1㎝くらいの輪切りか乱切りしかない。だから早い。
「包丁ないの?」と尋ねたとき、夫の父が棚の奥の方からまったく切れない謎に大きい包丁と、直径20㎝の丸いまな板を出してくれたときの衝撃は、今でも忘れません。