俳優、シンガーソングライターなど、たくさんの顔をもち、何色にも染まれる稀有(けう)な人、松下洸平さん。出演作、映画『遠い山なみの光』の撮影現場での出来事や、最近の“おっちょこちょい”なエピソードを伺いました。

松下洸平さん
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広瀬すずさんは、役者として心から尊敬できる特別な存在

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ノーベル賞作家カズオ・イシグロ原作の映画『遠い山なみの光』は、戦後まもない長崎で出会った2人の女性、悦子(広瀬すずさん)と佐知子(二階堂ふみさん)の交流を、イギリスで暮らす数十年後の悦子(吉田羊さん)の回想から描く作品。松下さんは、戦争から戻り悦子の夫となる二郎を演じます。

夫婦役で共演した広瀬さんには、ひたすら圧倒されたそう。

「広瀬さんは、言葉では形容しがたい魅力がある人。いつもフラットであまり浮き沈みがないのですが、きっと心の中ではずっとなにかを考えているのだろうなと。撮影中のオンオフの切り替えひとつとっても、すごすぎて…特殊能力に近いものを感じましたね。ああいう方って、本当に一生に一度、会えるか会えないかだと思います」

日、英、ポーランド、3国の合作となった今作。現場では、収穫がありつつ悔しい思いも。

「英語が飛び交うなか、自分の語学力のなさに落ち込みました(笑)。けれど、とても刺激的な体験でした。じつはこの作品、僕のセリフから始まるんです。カンヌで披露された際は、それをすっかり忘れて観入ってしまって…突然自分の声が聞こえてびっくり! という出来事も。それだけ、ミステリアスで目が離せない、不思議な魅力のある作品になっていると思います」