30代の“つらい失敗”が「エクセレントな脳」をつくる
30代の10年間、脳は人生でもっとも苦しい時期を迎えます。世の中のすべてを見とおせる脳になったのに、回路の優先順位がしっかりついていないので、迷うからです。
30代の脳は、「だれになんと言われようと、それしかない、ずんと腹に落ちる、自分だけの選択」というのが、まだしにくいのです。
当然、評判や昇進など、他人の評価を気にします。そのため、いくつもの選択肢が浮かび、選ぶのに迷うし、選んだ後もまだ惑う。人になにか言われる度に、気分も乱高下します。
しかも、脳は失敗事例を早めに経験したうえで、「失敗に使われた回路」を整理してしまいたい。だから、失敗確率も高い時期で、苦しんだあげくの選択が間違っている可能性も高いのです。なんて苦しい脳かしら。はるか昔に越えてきた道だけれど、私は30代の方々に常に深い同情があります。
でもね、30代の脳の使命は、「苦しい選択」をして失敗し、脳の「失敗回路」を早く消すこと。だから、思う存分痛い思いをして泣いてください。
けれど、それは、脳の豊かな感性のための、大事なエクササイズ。痛い思いをする度に、脳はエクセレントになっていきます。絶対です。
その際に、ぜひ気をつけてほしいことがあります。痛い思いをしたとき、それを他人のせいにしたら、せっかくの「失敗回路」の消去がうまくいきません。
それじゃ、なんのために泣いたのか意味がない。だから、辛い思いをしたときは、必ず自分の責任にしましょう。
たとえ、だれかに裏切られても、「ひどい」と恨まずに「裏ぎらせたことが悲しい」と思うくらいの覚悟で。
40代の物忘れは「老化」ではなく「進化」
その苦しみも、40歳になる頃にはラクになります。失敗回路に信号が行きにくくなるからです。ただし、脳のここそこにとっさに信号が行かない回路ができているので、物忘れが始まります。
頭に浮かんだ女優の名前が出てこないのは、そんなことを思い出せなくても生きていけるから。物忘れは、老化ではなく進化なのです。恐れないで大丈夫。
40代は物忘れが進むと共に、成功事例が増えていくとき。30代よりは、ずっと生きやすくなりますが、まだ確信の強さでは50代ほどの完成度ではありません。
そのため、周囲への迫力がいまいち。40代は、「自分は正しいのに、周囲の評価がたりない。みんな頭が悪いの?」と感じます。
つまり、周りが愚かに見えたら、正しい40代の脳ということですね(微笑)。
けれど、わずかに迫力のたりない感じが繊細さに見え、年上好きの若い男性にとって魅力的な年代でもあるのです。