親と離れて暮らしているみなさんは、どれくらいの頻度で親とコミュニケーションを取っていますか? 60代を過ぎると、健康面でも老いが顕著に現れてきます。そんなときに子だからこそできる、ちょっとした「心遣い」が、老親が元気に生きる手助けとなることも少なくありません。今回お話を伺ったのは、豊富な介護経験を積み、故マザー・テレサ氏とも懇談をした、現役ケアマネージャーの田中克典さん。60代を過ぎた親への理想の接し方について、詳しく教えてもらいました。
すべての画像を見る(全5枚)1:しょうゆやサラダ油など、重いものを買っていく
定期的に購入する「重い品物」「かさばる品物」は、帰省したときに買いそろえ、次の帰省まできらさないようにストックしておくといいでしょう。
子の側にいちばん負担のない方法は、ネットショップを活用することです。事前になにが必要かを親と相談し、配達日・時間帯を自分が帰省した後に指定しておけば、買い物に行く手間も、荷物を持つ苦労も省けます。
また、ネットで「最安値」を探せば、量販店よりも安く買える商品もありますから、経済的にも子の負担は少なくなります。
気をつけたいのは、買いすぎないこと。大量に買っても置き場所に困ります。
洗剤などは大容量の商品が価格も割安ですが、たとえば袋入りの液体洗剤は、そのままでは重くて扱いにくいものです。買ってきたら、詰め替え作業まですませておけば親は助かるでしょう。
調味料も大容量なら割安ですが、賞味期限があります。大容量を買って小分けにするのではなく、適当なサイズをきらさないようにストックしておけば十分です。
2:郵便物を一緒に確認する
届いた郵便物が未開封のままになっていないか、それも帰省したときに確認してください。
とくに支払いが必要な請求書や振込用紙は、放っておくと遅延金が発生する場合が出てきます。逆に、給付金や還付金などの通知は、申請書類を提出しなければ受け取ることができなくなってしまいます。
私が担当するお宅では、親が読んでもわからない郵便物は箱に保管しておき、月2回帰ってくる娘さんが内容を確認しています。この月2回が大事なポイント。提出が必要な書類には「2週間以内に返送を」というものが意外に多いからです。
高齢になって認知能力が低下してくれば、書類の記載に不備が生じる可能性も出てきます。
「月に2回も帰省できない」のであれば、役所で手続きすることで、医療・介護の保険や税金に関する書類の送付先を子の住所に変更できます。未開封の郵便物が増えてきたら、早めに変更したほうがいいかもしれません。