お金や老い、人づき合いなど、生きていく上で悩みのない人はいないのではないでしょうか? とはいえ、心配事を抱えすぎるとストレスとなり、生きづらくなってしまうことも。しかし、そういったあらゆる心配の種は減らすことができる、と精神科医の和田秀樹さんは言います。考えすぎず身軽に生きるコツを、和田さんに教えてもらいました。

心配事を抱える女性
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「知らない」を減らすと「不安」は減っていく

どんな人間でも、心配事や不安な気持ちの1つや2つはもっています。

お金の心配や将来への不安、老いへの不安、仕事の心配、事故に対する不安、人間関係がうまくいくかという心配……。

かように不安や心配のタネは尽きません。

すてきなパートナーと巡り会えて、幸せの絶頂という人でも、「この幸せはいつまで続くのだろうか」と考えて、不安な気持ちになってしまうかもしれません。

その不安や心配に気づかないふりをしていたり、不安を忘れようとして目先の楽しさを追い求めたり、友だちや先生に相談したり……。

どうしても不安が心から離れなくて、強いプレッシャーとなって襲ってくると、私のような精神科医に相談される人もいます。

カウンセリングを受ける女性
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どうして私たちは、不安や心配を抱えてしまうのでしょうか。

その原因の1つは「知らない」からです。

新入社員が社会人生活に不安を覚えるのは、仕事をまだ知らないからです。初対面の人と会うのが不安なのは、その人のことを知らないからです。

そういう不安や心配事は、事実や情報を集めたり、経験を積み重ねていったりすれば解消していきます。「知る」ことによって、多くは解消できるのです。

●将来のことなんて悩んでもしかたがない

しかし、それでも解決しない不安もあります。

将来、なにが起こるかはだれにもわかりません。どのように老いるのか、体にどんな不調が出てくるかもわかりません。わからないから不安になるわけですが、それはもう考えても始まらない不安、悩んでもどうにもならない不安です。

学んだり、経験したりすることで解消する不安ならどうにかすることもできますが、どう転ぶか、どちらに進むかわからない事柄については、どうすることもできません。

しかし、将来のことなんてだれにもわかりませんし、いまからどうすることもできないのです。冷静になれば当たり前のことですが、不安にさいなまれているときは、こんなふうに考えることすらできません。

深呼吸をして、心を落ち着けてください。

どうにもならないことは、だれにとってもわからないのですから、引きずって悩むだけ損というものです。悩み続けていても、なにかが好転するわけではありません。