●運が悪いと思い込んでると、その通りの結果になる?

マイナス思考
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そこで私は「自己予言成就」の話を彼女にしました。

「自己予言成就」とは、心理学用語の一つなのですが、「こうなるのではないか」と思っていると、その通りの結果を引き起こすというものです。これは不思議な話ではなくて、「こうなる」という思いが行動につながり、よりその結果を引き寄せやすくなるという仕組みです。

こういう例があります。結婚願望はあるけど出会いに恵まれなかった女性がある占い師に、「来年の今頃、あの公園の木の下で出会う人と結ばれる」と言われ、その通りになったという話がありました。これは占いが当たったという話ではなく、その女性が頻繁にその場所を訪れ「出会いがある」と信じて相手を探した結果の出来事でした
この例はハッピーエンドな予言成就ですが、「最後には失敗する」などのバッドエンドな自己予言成就もあります。これも、原理としては「バッドになるように行動する」ということになります。

幸子さんにも自己予言成就がありました。「私はついてないから最後には不幸になる」というものです。実際に話をよくよく聞いていくと、そうならないために必要以上に人と関わりを持たなかったり、他人の言葉や表情を必要以上に気にしたり、職場の環境を必要以上に疑問視していたことがわかりました。

 

●運がいい状況をつくれるかは自分次第

一通り自己予言成就の話をした後、私は幸子さんに再度質問をしました。

「もしあなたの同僚で、なかなか会話が弾まなかったり、いつも緊張しているような様子があったり、こちらから声をかけてもあまり本音を言ってくれなかったらどうですか?」

すると幸子さんは少し目を見開いてこう言いました。

「ちょっとやりにくいですね。多分『あまり関わらない方がいいのかな』と思ってしまいますね。あー、そっか。私、自分でやりにくい状況をつくっているんですね! 運が悪いのではなくて、運が悪い状況を自分でつくっていたんですよね!!」

プラス思考

そう言いながら、彼女はどこか嬉しそうでした。後日談として、彼女は仲間との会話も増え、プライベートでも一緒に遊びに行くようになったそうです。彼女のように、気づかないうちにマイナスの自己予言成就をしてしまっている人がいます。

自己予言成就は、思い込みから生まれる行動パターンなので、客観的に分析できれば、やめることが可能です。この記事を読んで「自分にもそういうところがあるかも」と思った方は、一度自分の身に起こっていることを客観的に観察して、「もし他人が同じ状況だったらどう感じるか?」を確認してみましょう。