人生100年時代、50歳は折り返し地点。ですが、やり残したことに挑戦するには、まだまだ遅くありません。 実際、年齢や経験を重ねた今だからできることもたくさんあるはずです。今回は、53歳にしてスペイン留学を決意した方の体験談をご紹介します。

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53歳でスペイン留学を決意したRitaさんにお話を伺いました。現地ではどんな生活を送っているのでしょうか?

●53歳でスペイン留学に挑戦。「学生やってます!」

プロフィール/Ritaさん(53歳)

横向き女性
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留学先のスペインでひとり暮らし&学生生活を満喫中。夫とは14年前に離婚。成人した子どもが2人。twitterで留学生活について発信中。

Ritaさんのこれまで

  • 22歳 結婚
  • 23歳 長女出産
  • 26歳 長男出産
  • 39歳 離婚、シングルマザーに
  • 46歳 子どもが2人とも成人する
  • 52歳 スペイン留学を決意
  • 53歳 現地での生活、学生生活スタート

●娘のひと言で留学を決意。自分でも驚きの行動へ

マラガ
ピカソの故郷としても知られているマラガは、大聖堂や闘牛場などもあるスペインらしい街。「旧市街は散策にもぴったりです」

ここはスペインの南、アンダルシア地方の海岸沿いにある街・マラガ。年間300日は晴天日といわれる風光明媚なところです。私がここにやってきたのは今年の6月。三十数年ぶりに学生に戻り、スペイン語を学んでいます。振り返れば、結婚していた頃は夫の顔色をうかがう、“カゴの鳥”のように暮らしていました。離婚後も周りの目を気にして、自分自身が心からやりたいと思えることをしたことがありませんでした。でも今は、人生で初めて充実感に満たされています。

50歳を過ぎた頃から目標を見失い、ずっと心にすき間を抱えて生きてきました。子育てという大きなステージを終えてからは、なにをしても「こんなものか」と冷めた目で見てしまう自分がいて…。結婚、出産、子育て、離婚を経験し、勝手に「人生やりつくして、もうやり残したことはない。あとはだれにも迷惑をかけずに死ぬだけ」と本気で思っていました。

そんな生気の抜けた私を動かしたのは、「やることがない? まだなんだってできるでしょ。留学でもしてみたら?」という娘のひと言でした。その瞬間、全身が奮い立つのを感じ、「あ、これだ!」とすぐに思えたのです。それが、娘の以前の駐在先で、かつて訪れて感動したスペイン。最低でも1年は現地に暮らしてスペイン語をマスターするという目標も、すぐに決まりました。一度走りだすと自分でも信じられないようなスピードで、次々と決断を下していけたのです。

お遊びのように聞こえるかもしれませんが、私にとっては一世一代の行動です。子どもたちの教育費がかさんだこともあって貯蓄はあまりなく、留学費用と1年分の現地生活費、日本で支払う年金や保険料などを支払ったら残りはほぼゼロになるとわかっても、やめるという選択肢はありませんでした。わずか3か月の間に仕事を辞め、ひとりで住んでいた家も引き払い、覚悟のうえで旅立ちを決めました。