●食べる経験を積んでいくことで、好きにつながる

「ニンジンは昔『子どもが嫌いな野菜』の代表格でしたが、今は好きな野菜に仲間入りしてるんですよ。これは、ニンジンの糖度があがっているということが関係していると思います。それもおいしいのですが、野菜は甘味だけでなく、苦味や酸味、ちょっとしたえぐみとかもひっくるめて野菜の味だと僕は考えています。だから。そこを全部含めて味わうことが“いただくこと”だと思うんです」

とはいえ、苦い物や酸っぱいものは食べさせるのは至難の業。そんなとき小学生のお子さんがいる森崎さんはある方法で食べさせています。

笑う森崎さん
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「うちの場合は、『これ、苦いけど食べられるかなー?』と先に言って食べさせています。食べたあとも、『食べれるね~! どうさ~苦くない?』って聞くんですけど、すると不思議なもので、『大丈夫…おいしい』って強がって食べるんですよ(笑)。そうやって、食べる経験を積んでいくことでそれが好きにつながってくれるし、もし苦手なものが出てきてもそれは大事な舌の本能だからそのままでいいと思っています」

●野菜の味は切り方や調理方法で「好き」に変わる

森崎さんによると、野菜は「切り方」で、味の味覚の感じ方が大きく変わるそうです。

「ピーマンを苦手とされる方もいらっしゃると思うんですけど、じつは『切り方』ひとつで味が変化するんですよ。輪切りにするといちばん苦味が出るので、ピーマンらしさをほんのちょっとの量で出したいときは輪切りに限ります。また、お子さんに食べさせるなら、おすすめは縦切り。これは細胞がつぶれづらいので、苦味が出ず甘味が生きます。もっとも甘く食べれるのは手でちぎる方法。へたをグッと押し込んで、あとは手で割いていくだけ。包丁もまな板も使わないので時短にもなりますよ」

以前、森崎さんが出演する番組のロケで、ブロッコリーを「悪魔の食べ物」だといったお子さんがいました。しかし、それはおいしい食べ方を知らなかっただけなのだとか。

ブロッコリーは房部分をひとつずつ切り、皮をむいてざく切り、ぐつぐつ沸騰したお湯にお水の1%程度の塩を入れて1分程度ゆでればOK。水にはさらさなくて大丈夫! これだけで、ブロッコリー本来の味のポテンシャルを高めて、悪魔の食べ物だったものが、おいしいに変わるんですよ」

その子どもは、森崎さんが出したブロッコリーを食べて「おいしい! トウモロコシみたいに甘いんだね」と話し、ブロッコリーが好きな野菜に変わりました。森崎さんが推奨する野菜の食べ方は実にシンプルなものばかり。

●食卓でストーリーを子どもに伝えてほしい

腕を組む森崎さん

「やりすぎはよくないですし、野菜は難しくないから時短で最高のものが食べれます。ブロッコリーなんかは塩ゆでするだけで最高にぜいたくな一皿! それよりも、すべてのお母さんにはお皿の上の食材1個でいいから、食卓でストーリーを話してほしいなと思うんです。『今日はサバの煮つけも味噌汁も普通だけど、1個だけ特選素材、このニンジン! これは道の駅で買ったニンジンでめちゃめちゃ甘いから!』といった感じで。子どもは『母ちゃんなにか言ってたな~』と思って、しっかりなにが違う? と味わうんですよ。これが大事!」

日頃食べている野菜でも、まだまだ知らないことがとてもたくさんあります。こうやって本来の可能性を知ることで、より野菜を楽しめて、もっと知りたい! という気持ちになりますよね。

「僕はこうやって継続的に野菜の魅力などを発信して、知ってもらうことが大事だと思っています。野菜界のさかなクンみたいな感じで、野菜おじさんですね。これからもどんどん伝えていきますよ!」