住宅展示場などで求められるアンケートへの回答。職業や年収、使える予算など、ある意味、自身の社会的地位について赤裸々に語るに等しい内容とも言えます。年収や予算が低いと、営業マンに冷たい対応をされるのでは…。そんな心配も頭をよぎりそう。では実際のところ、営業マンはアンケートのどこを見て、「よい客」「悪い客」と考えているのでしょうか?今回は、大手ハウスメーカーでの営業経験もある住宅コンサルタントの森雅樹さんに、営業マンがアンケートをどう活用しているのか、その舞台裏を教えてもらいました。書きたくないときの対処法もアドバイス。
すべての画像を見る(全6枚)アンケートで営業マンがもっとも知りたいことは建築希望時期
「アンケート記入をお願いします」。住宅展示場に入場すると必ず言われるフレーズです。
アンケートには住所、氏名はもちろんですが、自己資金やら建築希望時期といった核心に迫る項目も。あなたがアンケートを記入するところを、見ている営業マンは、「自己資金〇〇万円もあるんだ」「半年以内の建築希望だ!」と一喜一憂しているのです。
まず知りたいのは、半年以内~3年以上までの選択肢を選ぶか
アンケートにはだいたいこんな感じの選択肢が並んでいます。
- 半年以内
- 1年以内
- 2~3年以内
- 3年以上
営業マンの心理としては、当然ですが①を期待しますが、この建築希望時期に瞬時に〇を打てる人は少数派。もし半年以内に〇を打てば「やった!」となりますし3年以上先だと「う~ん」となります。
でも、3年以上先だからといってぞんざいな扱いをされることはありませんし、営業成績のいい営業マンほどそう考えないのです。
その根拠は次の2点。
- 建てる気満々なのに営業マンに食いつかれないようわざとやる気がないように見せている
- 来場時は3年以上先と本当に考えていたものの、展示場見学がきっかけとなり、とんとん拍子で決まることがある
このことを体感的に知っているからです。
営業マンの積極的アプローチを望むなら半年以内に〇を打つのも手
「建築希望時期」の項目で、半年以内に〇を打つと営業マンは積極的にアプローチをします。それが嫌な人も多いと思いますが、メリットもあることを覚えておきましょう。
あなたが土地を探しているとします。住宅営業マンに頼めば探してくれるのですが、「いい土地が見つかればすぐにでも建てたい」人と「3年以上先だけど参考までに情報ください」という人がいれば、心情的に前者には一生懸命に動きますよね。
よい土地の情報が欲しいのならば、積極的に情報を集めてもらえるよう、半年以内に〇を打つのも手です。
アンケートの勤務先と年齢の欄を見て住宅の購買力を測る
住宅の購買力は大きな関心事。勤務先と年齢を書く欄があるのには理由があるのです。大手企業で40歳と記入すればそれなりの収入を推測できますし、場合によっては社内融資がある企業かもしれません。若年層であれば企業規模に関わらず購買力は弱いと判断できます。
公務員だと心の中でガッツポーズ
「○○小学校の先生だ!」と心の中で叫んでしまいます。教員、警察官、消防士、自衛官などは固い職業の代表例。
そもそも公務員志向の人は生活全般がしっかりしていると推測できますし、ローン審査の心配もほぼないからです。
アンケートを書きたくないときは、はっきり伝えればOK
アンケート記入に抵抗感を持つ人が多いのはうなずけます。翌日から営業マンの訪問や電話攻撃にさらされるのではという不安があるのも分かります。
少しだけ角が立ちますが「書きたくありません」と伝えてください。ただし一部の会社では「見学はできません」という塩対応もあるので念のため。
筆者はアンケートを書かないと伝えるより、記入して「訪問と電話は控えてもらえませんか?」と一言伝える方法をおすすめします。
会社にクレームが入ることは避けたいので、こう伝えればほとんどの営業マンは約束をしっかり守ってくれます。
教えてくれた人/森雅樹さん
住宅コンサルタント。大手ハウスメーカーと超零細工務店で住宅営業を経験し独立。23年間にわたってマイホーム相談会など実施。日本経営合理化協会講師、リフォームスタイリスト検定講座講師なども務める