脳科学とAI研究の知見から子育てや人間関係について発信を続ける、AIの開発経験があり、脳科学者でもある黒川伊保子さん。今、警鐘を鳴らすのが、深夜のスマホやゲームが、子どもの身長や記憶力に与える影響です。「16歳未満のスマホ利用を禁止したい」と語る黒川さんに、その理由を詳しく聞きました。

※ この記事は『AIのトリセツ』(扶桑社刊)より一部抜粋、再構成の上作成しています。

ベッドでスマホを見る子ども
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)
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今夜、伸びるはずだった身長がゼロになる

16歳未満のスマホ利用を禁止したい理由は、いくつかあります。

まず、身長が伸びなくなる。そして、成績も伸び悩む。

身長を伸ばす成長ホルモンは、真夜中、視覚神経に過度な刺激があると、分泌を鈍らせます。このため、夜中のゲームやスマホは、身長の伸びを止めてしまうのです。男子の身長を160cm台から180cm台まで押し上げるのは、14歳から16歳の3年間。ここが勝負なのに、この国では、この年齢を携帯端末と過ごす子が多いんです。

加えて、記憶の定着力も、夜中の過度な視覚刺激で低下してしまいます。

脳は、寝ている間に、昼間の体験記憶を再生して、知恵やセンスを構築したり、記憶を定着させたりしています。夜中の過度な視覚刺激で睡眠の質を低下させると、頭もよくならないのです。睡眠の質に関していえば、昼間の長時間の過度な刺激もNG。

身長を伸ばしたい人、頭がよくなりたい人は、せめて21時には、スマホやゲームのスイッチをきることをおすすめします。ちなみに、紙の本や問題集は、過度の視覚刺激にはあたりません。

子どもたちには、こう告げるといいかもしれません。

「こんな時間にゲームしたい? あなたの身長は、今夜0.1mm伸びるはずだったかもしれないのに、それがゼロになるね」

「夜中にスマホ? せっかく勉強したのに、その記憶が定着しにくくなるね」

スマホで「壊れる」子どもたちの脳

スマホを見る子ども
※画像はイメージです(画像素材:PIXTA)

わが国では、政府がまだ16歳未満のSNSを禁止していません。このため、学校や部活の連絡網にSNSを使う学校もけっこうあります。

そして、女子の仲よしグループでは、SNSに参加できない者は自然に仲間はずれになることも。家に帰っても、SNS上でのおしゃべりが継続しているからです。

しかも、10代の女性脳は、ホルモンバランスの影響と前頭前野未発達のW効果で「群れる」ことに命がけ。SNSに参加すれば、基本、「即レス」を強要されるわけです。

メッセージを読んだのに反応がない「既読スルー」は、グループへの裏ぎりと思われることも。つまり、SNSに参加しないとグループにいられず、SNSに参加したら最後、24時間グループに支配されてしまいます。

このため、親たちはどうしたって、子どもたちの「ケータイ欲しい」に、逆らい続けることができなくなってしまうのです。

子どもたちの脳は、前頭前野が未発達状態の脳をネットにさらし、ふと闇落ちてしまうかもしれない可能性を抱え、身長も成績も、遺伝子のポテンシャルまで伸びきることができない状況。寝ても覚めても友達のグループに“つかまって”いて、そこに依存する子も、逃げたい子も、どちらも心の安寧を得ることができないのです。