海外の人々の暮らしには、豊かに生きるためのヒントがあるかもしれません。「お金や便利さとは違う豊かさに気づきました」と話すのは、50代で旅暮らしをするRitaさん。スペイン留学を3年間経験した後、ジョージアに7か月滞在、現在はタイを拠点に暮らしています。Ritaさんが、3か国に住んで気づいた、毎日の過ごし方や、時間の使い方のコツを紹介します。
すべての画像を見る(全5枚)小さな楽しみを見つけるのが上手な人たち
私は買い物へ行くと、必要なものだけを買って、できるだけ早く帰るタイプでした。でも海外で暮らし始めてから、その時間の過ごし方が少し変わりました。
市場へ行くと、「今日はこの果物甘いよ」「久しぶりじゃない」と気さくに声をかけられます。週に1、2回しか通わない私の顔まで覚えてくれていて、ときにはおまけをしてくれることもあります。
最初は食材を買いに行くだけだった場所が、いつしか「今日はあのおばちゃんに会えるかな」と思いながら足を運ぶところになっていました。
スーパーでは、レジ係の人とお客さんのおしゃべりがなかなか終わらないことも。でも、後ろに並んでいる人も急かすことなく、のんびり順番を待っています。
最初は「早く会計が進まないかな」と思っていましたが、今では、「そのうち順番がくるよね」と思いながら待っている自分がいます。
食事の時間も印象的です。テーブルを囲みながら、ゆっくり会話を楽しむ人たち。料理が運ばれてくるのが遅くても気にする様子はなく、おしゃべりそのものを楽しんでいます。
まるで、「なにを食べるか」よりも、「だれと過ごすか」のほうが大切だと感じているかのようです。そんな光景を何度も目にするうちに、食事はおなかを満たすだけではなく、人との時間を味わうひとときでもあるのだと感じるようになりました。
自分のペースを大切にしている
海外で暮らしていて、もうひとつすてきだなと感じたのは、自分のペースを大切にしている人が多いことです。
53歳でスペインへ留学したとき、「この年齢で留学?」と聞かれることもあるのでは、と少し身構えていました。でも実際は、年齢を話しても驚かれることも問われることもほとんどありませんでした。
「あなたがやりたいなら、それでいいじゃない」
そんな空気が、ごく自然に流れています。年齢や肩書きよりも、その人自身がどうしたいか。その気持ちを大切にしているように感じたのです。
60代の知人は、バッグの中にいつも水着を入れていました。買い物へ出かける途中でも、「今日は天気がいいから、先に泳いでくるね」と海へ向かいます。
またある70代の女性は、夕日があまりにもきれいだったからと、バッグからビニールシートを取り出し、「もう少しここで見ていくわ」と芝生に腰を下ろしました。
予定よりも、その日の気分。周りの目よりも、自分が心地いいと思える時間。そんなふうに毎日を選んでいる姿が、とても印象に残っています。


