男性と女性では、考え方や感じ方が少し違うと感じたことはありませんか? 今回は、脳神経科学を専門に研究するお茶の水女子大学・助教の毛内拡さんに、男性と女性の脳の違いについて教えてもらいました。あわせて、「男脳」「女脳」という生まれつきの違いよりも大切なことについても伺います。
すべての画像を見る(全2枚)※ この記事は『自分をつくる脳の仕組み』(オレンジページ刊)に掲載された内容を一部抜粋・再編集して作成しています
男性と女性で脳のつくりが違う?
男性と女性の考え方の違い。じつは、その違いの一部は「脳」の仕組みが関係していると考えられています。もちろん、すべての人にあてはまるわけではなく、個人差の方がずっと大きいのですが、科学でわかってきた男女の脳の特徴をのぞいてみましょう!
●ホルモンで脳の発達が変わる?
まず、脳の発達には「ホルモン」が深くかかわっています。赤ちゃんがお母さんのおな
かの中にいるとき、性別によって異なるホルモンが脳に影響を与えます。
とくに「テストステロン」というホルモンは、男性の脳の発達に関係していて、空間認識や論理的思考にかかわる部分を育てやすいといわれています。一方で、女性の脳は「エストロゲン」などのホルモンの影響を受け、言語や共感、感情の認識に関係する領域が発達しやすいという研究もあります。
●感情や記憶の働きにも違いが
また、「脳梁(のうりょう)」とよばれる、左右の脳をつなぐ橋のような部分は、女性のほうがやや太いといわれてきました。この部分が発達していると、左脳と右脳の情報をスムーズに行き来させることができるため、女性の方が言葉や感情を使ったやりとりが得意だとされてきたのです。ただし最近の研究では、この差はそれほどでもないといわれていて、話はもっと複雑だということがわかってきています。
感情を処理する扁桃体や、記憶をつかさどる海馬の働き方にも違いが見られます。
男性は扁桃体の「右側」が、女性は「左側」がやや活発に働きやすい傾向があるという研究があります。
右側の扁桃体は瞬間的な判断や空間的な認識に関係し、左側は感情の細やかな理解や記憶に関係しています。こうした違いが、感じ方や反応の差として現れることがあるのです。
脳の違いは生まれつきだけじゃない
さらに、ストレスへの反応にも少し違いがあります。男性は強いストレスを感じたとき、「戦うか、逃げるか反応」が強く出やすく、すぐに行動で解決しようとする傾向があります。
一方で、女性は「つながり反応」といって、だれかと話したり、助けを求めたりすることで安心感を得ようとする傾向があるといわれています。
これは、進化の過程で男性が狩猟や戦いを、女性が子育てや協力を担ってきた影響だと考えられています。
ただし、ここで大事なのは「環境や経験」の影響がとても大きいということ。たとえば、言葉をたくさん使う環境で育てば、男性でも言語能力が高くなりますし、空間的な遊びを多く経験すれば、女性でも空間認識能力がぐんと伸びます。
つまり、「脳の違い」は生まれつきだけではなく、環境や育ち方でも大きく変わるのです。

