新生活に向けて暮らしを整えたいけど、ものを捨てるのは苦手な人も多いのでは? 暮らし系の本を多く手がける編集者の一田憲子さんも「じつは捨てたり片付けたりするのが苦手」なのだそう。そんな一田さんが実践する「捨てスタイル」について伺いました。
すべての画像を見る(全4枚)ため込んだ本の重みで、押し入れの底が抜けた
「かつては居間の押し入れの中に、読み終えた本をため込んでいました。よほどの重さになっていたのでしょうね。ある日、押し入れの中板が壊れて、本が全部落っこちたんです」と、笑いながら振り返る一田憲子さん。
もともと読書好きな上に、編集者という仕事柄、取材相手の著書を読んだり調べものをしたり、本は増え続ける一方でした。
しかし、その崩落をきっかけに、家の中から本棚をなくすことに。
「読みたい本は次々に出てくるから、取っておいた本をまた読むことなんて、私の場合は二度とない。そう気づいたんです。本は捨てられない、置いておかなくちゃいけないと、思い込んでいただけでした。本棚があるとまたためてしまいそうだから、本当に数冊の保存版が置ける場所だけ確保して、読んだらすぐに手放しています」(一田憲子さん、以下同)
同様に、何箱にもわたり保管されていた手紙や大量の取材ノートも、一度も読み返していないことに気づき、処分したそうです。
「取材ノートは20代でこの仕事に就いたときから、一冊も捨てずにとってありました。おそらく千冊以上のすごい数。どこになにが書いてあるのかなんて、もうまったくわかりません。全部並べたところを記念撮影してから、一気に捨てました」
手紙はもらった瞬間がうれしいし、本もノートも読み返してこそ、機能するもの。
「ためていても、あとが大変なだけ」という経験が、「捨てる勇気」を出すきっかけにつながったのです。
マメじゃなくても「家がすっきりする」コツ
一田さんが現在の家に住み始めて20年がたちました。それなのに、ものがあふれることなく、居間にも廊下にも余白をもたせ、花を絶やさず暮らしています。その秘訣を尋ねると――。
「私は片付けが得意ではないし、ルールを決めてそのとおりに守るのも苦手です。けれども、マメじゃないくせに、家の中がすっきりしていないのはイヤなんです」と語る一田さん。
「だから押し入れとか、見えない場所につっこんで、片付いた風に見せているんですよ。うちの母が口癖のように、いくら掃除をしても、掃除をしたように見えなければ意味がないと言っていました。それを聞いて育ったから、マメに片付けているかどうかより、『片付いて見えること』を工夫するようになったのかも」


