「介護未満」の父親のケアを担い、その奮闘の日々を新刊『介護未満の父に起きたこと』にまとめたジェーン・スーさん。「介護未満」とは、まだ本格的な介護が必要ではないものの、親の記憶力や体力が落ちてきた状態のこと。親と距離をとる「親不孝介護」を提唱する、介護のプロの川内潤さんとともに、介護未満の親との関わり方についてお二人に語ってもらいました。
親と自分とは「違う人生」。境界線をしっかり引くこと
──自由奔放なお父様とは一定の距離をとり、1か月に1度お墓参りで会う程度だったのが、「介護未満」の状態となり、お父様の生活に踏み込むことになったそうですね。変化は自然に受け入れられましたか
ジェーン・スー:やらないとまずいとは思いました。でも、生活が侵されていく感じはなかったです。もともと互いに干渉しない関係で、父と私は「違う人生」というスタンスは変わりません。
川内潤:親と自分の人生に明確に線を引くのは、じつはとても難しいことです。「一卵性親子」と呼ばれるような関係性だと、親の老いがつらく、受け止めきれない方もいます。
ジェーン・スー:40~50代になると親に対しては、老いていくのを見るのがつらいという「子ども」のフェーズと、老いていく親にわずらわされるのが面倒くさいという「大人」のフェーズが混ざると思うんです。そこをうまくきり分ける必要があって、その境界線をどう引くかは意識しました。