ミニマルな暮らしを実現させるコツは「家族が納得してくれること」
すべての画像を見る(全5枚)ものを減らすことで、心に余裕が生まれていった一方、ミニマリストではないご家族は、ものが減っていくことに戸惑いを隠せなかったと言います。
「ものを減らすことで思考もすっきりしてきて、私自身はご機嫌になっていったんです。一方で夫は不安そうでした。『また減らしたの?』とよく言われましたし、毎日どこになにがあるのか探しているようでした。そのときは自分のことで精いっぱいで、あまり夫の気持ちを考えていなかったのですが、あるとき、テレビを手放したいと思ったときに、けっこうもめてしまって。ミニマリストになりたいのは私だけなので、家族で暮らしている以上、自分の理想と家族の理想は分けて考えないといけないと思いました」
当時、コロナ禍で暗いニュースが流れていたこともあり、「リビングにテレビがあることがいやだった」とおーちゃん。
しかし家族にとって、テレビはリラックスできる大切なもの。そこでおーちゃんは、テレビを手放すメリットを家族に丁寧に伝えながら着地点を探しました。
「代替案としてプロジェクターを試してみたり、リビングに置くのはやめてテレビやゲームを楽しむための部屋を別に設けたりと、試行錯誤しました。いまはキャスター付きのTVスタンドを使って、リビングでも鑑賞できるようにしています」
家族と心地よく暮らすために。片付けを「強要しない」ルール
心地よく暮らすためには、家族に価値観を強要しないことが大切。この考えは、普段の片付けにも表れています。
「片付けのゴールって、人それぞれ違うと思うんです。たとえば私のゴールは収納棚にきれいに並べることですが、ほかの人にとっては床にものが置かれていないことかもしれない。だから片付けは、やりたい人がやればいい、と考えるようになりました。子どもたちや夫には、ある程度までやってくれたら『ありがとう』と伝えて、最終的に自分の満足いくところまで整えるのは私がやります」
家族に「ここまで収納したい」という理想は伝えつつ、無理強いはしません。理想の収納に近づけるために、工夫することもあるそうです。
「たとえば、引き出しをあけて、収納ボックスを取り出して…といった複雑な手順を減らし、片付けやすい収納にしたり、ものの量を減らして探しものを見つけやすくしたり。私が『ここまでやってほしい』というゴールに、家族が近づきやすい仕組みをつくるように心がけています」
おーちゃんは、家族とのちょうどよいバランスを見つけるためには「苦手な人に合わせることが大事」と話します。現在、リビングにはソファもテレビもありませんが、その空間で子どもたちと遊びながら穏やかに過ごしているそう。おーちゃんのミニマルな暮らしには、家族が快適に暮らせる住まいづくりのヒントがつまっていました。