子育てにはひと段落ついたものの、仕事に家事に忙しい50代。日本では平日の夜に家を人を招くのは珍しいですが、フランスでは平日でもよくおもてなしをするそうです。「平日に人を呼べるのは、気軽におもてなしできるコツを心得ているから」と話すのは、フランス人の夫と暮らし、文化についても詳しいエッセイスト・ペレ信子さん。実際に50代のフランスの友人から受けた、おもてなしについてレポートしてくれました。
すべての画像を見る(全4枚)数日前にする「突然のお誘い」が気負わずに招くカギ
夕食に人を呼んで「おもてなし」というと、数週間前から声をかけることもありますが、フランスではそうとも限りません。
この夏、フランスにしばらく滞在したのですが、何回か友達の家に招待されました。フランスに来ることについては何か月も前から詳細を伝えていたわけではなく、「だいたい◯月の△週目くらいにパリです。パリに着いたら連絡するね」という感じです。
着いてから連絡すると、向こうは「それなら水曜日の夜はどう?」という風に日時の打診をしてくれます。
「その日はリモートで家にいるから仕事しながら夕食をつくれるし。次の日も仕事なので軽い食事になるけど、ぜひ家に来て」というスタンスです。そういう設定の仕方だと、お互いにご馳走を食べることが目的ではなく、会うことがメインのシンプルな食事会になるとわかります。
おもてなしのお礼はフランスの食事に必須のデザートが粋
久しぶりに一緒に食事をしながら話すことがメインだとしても、食事の部分をまったく無視して、なんでもよいというわけではありません。フランス人は日本人同様、とても食いしん坊だからです。
フランスの食事はほぼ100%、前菜、メイン、デザートの3皿構成です。たとえば、夏なら前菜はトマトなどの野菜のサラダ、メインは焼いた肉に夏野菜を合わせる、という感じです。この日はメンバーにベジタリアンがいたので、野菜などの前菜をおつまみ風でいただき、メインは動物性のものを使わないキッシュでした。
前菜とメイン料理はシンプルでつくるのも簡単ですが、意外に準備が大変なのがデザート。そこで、友人から気軽な食事に呼ばれたときは、すかさず「デザートは持って行くね」と言います。大概とても喜ばれます(喜ぶというか当然、という感じすらあります)。こちらもなにか持参したいと思っているのでちょうどいいですよね。