女優業と音楽活動の違いは?
すべての画像を見る(全2枚)女優として多くの作品に出演する一方、原田さんはコンスタントに音楽活動も行なっています。どのようにバランスを取っているのでしょうか。
「お芝居の仕事は出会いなので、なかなか計画や目標は立てられません。私ができるのは、いつお仕事をいただいても対応できるように自分の心と身体を整えておくことだけ。一方、音楽活動は年に一度アルバムを出して、ツアーを行って…というリズムがあるので、自分の中では毎年のペースのようなものができています。『今度はこんなアルバムをつくろうか』と、近しいバンドメンバーの方やスタッフの方々と話し合ってつくる楽曲には、私がお芝居の現場で得たものが反映されていますし、音楽活動を通して身につけたものが今度はお芝居からにじみ出て…ということもあると思います。音楽とお芝居はまったく違うものですが、その両方から影響を受けて作品をつくれるのは幸せなことですし、どちらの仕事からも刺激を受け、楽しんで作品づくりをしています。」
最新のミニ・アルバム「カリン」でも、川谷絵音さんら若い世代のアーティストとコラボレーションをするなど新しい挑戦をされていましたね。好奇心やモチベーションを持ち続けるために意識していることはありますか。
「仕事をするときはぐっと集中して、その後はひと息つくというか、心身をふわっと緩ませる時間を大切にしています。普段の生活を楽しんだり、旅をしたり。お芝居のように何かを表現する仕事では、自分の内側に何もないと、セリフを入れることはできても、それを(表現として)生み出すのが難しいので。作品のことを絶え間なく考えている状態を一度断ち切って、無の時間をつくることで、自分のなかから再び新しいものが生まれてくるような気がします」
50代から始めたというゴルフは、そんなリセットにも役立つのですね。
「そうですね。ゴルフは気分転換にもなりますし、生活にメリハリもつきます。2022年にデビュー40周年を迎えたとき、「こんなふうに元気にいろいろなことができる時間は、あとどれくらいだろう」と考え、これからは1日1日をさらに大切に過ごしていきたいと思いました。ぼんやりしていたら、一年はあっという間に過ぎてしまう。
日々、たくさんの方々との出会いの中で、学びがあったり、刺激を受けたりしながら生きてるのですが、その中ですごく変化していく自分を感じています。今の自分は来年にはもういない。『このときの私はいなくなるんだ』と思うと、その瞬間、その瞬間にせいいっぱい、最善を尽くしていきたいと思います」
なんでも「ほどほど」が合言葉
忙しい毎日、健康でいるために気をつけていることはありますか。
「軽い運動は心がけていますが、激しい筋トレは絶対に続かないので無理はしないようにしています。それでも体を動かした翌日は筋肉の張りが違うので、またやろう、と思いますね(笑)。自分の体と対話していると、運動や筋トレをしたいと思う瞬間は必ず訪れるので、それを大切にしています。テレビやSNSで見かけた方法がいいなと思えば試すこともありますよ。たまに違うことをして変化を与えながら、少しずつ続けるしかないかなと思っています。食事はお腹がいっぱいになりすぎると動きにくいので、「もう少し食べたい」くらいでやめておくほうが私は調子がいいみたい。私たちの世代は食事でもなんでも、少し余力を残すことが大切なのではないでしょうか。昔は多少無茶をしても、一晩眠ればすっかり元気になれましたが、今はそうはいきません。なんでも「ほどほどに」が良いですね。」
最後に原田さんが今、美しさを感じることに教えてください。
空を見るのはとても好きです。特に冬は空が澄んでいるので、それだけ元気になれる気がします。自然のエネルギーを感じると、自分は動物なんだなと意識できます。それが心地いいですね。
原田知世さんが表紙を飾る『これからの暮らし by ESSE vol.10』は3月22日に発売予定。巻頭特集は「心も体も老けない人の暮らし方」。ほかにも収納、片づけ、料理の特集などが満載。インタビューには坂本昌行さん&増田貴久さんも登場します。
