フランス人の究極の朝食を紹介します。「パリの高級ホテルではレストランのインテリアからテーブルセッティングに始まって、豪華な朝食が食べられる、ということはインフルエンサーのSNS投稿などでよく見かけます。でもそれは非日常のたまのぜいたく」と話すのは、フランス文化研究者・翻訳家のペレ信子さん。ペレさんにフランス人の実際の朝食についてレポートしていただきました。

クロワッサンとエスプレッソ
クロワッサンとコーヒー、オレンジジュースは外食の朝食
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なんといっても「焼きたてのバゲット」!

バケット

以前、フランス人は毎日クロワッサンを朝食に食べることはない、と書きました。クロワッサンは毎日食べるには高いものなのです。値段はしまり屋のフランス人の大切なチェックポイント。なのでクロワッサンは特別な朝用です。

フランス人がクロワッサンよりも好きなのは、自分の好きなパン屋さんで「焼きたてのバゲットを買って食べること」だと私は思います。

ある程度の大きさの街なら徒歩圏内にいくつもパン屋さんがあるもの。そのなかから自分の好みにぴったりのバゲットを焼いている店を見つけたらラッキー。パン屋さんが遠い人は多く買って冷凍することもありますが、究極はやっぱり焼きたてのバゲット! 細めのカリッとした食感が好きな人がいれば、ドシッとしたしっかりバゲットが好きな人もいます。

私もフランスの夫の実家に行くとバゲットはここ、と決めている店があって、面倒がらずに毎朝バゲットを買いに行きます。よい香りのバゲットの端っこを、ちぎって食べながら帰るのは最高に幸せです。

フランスならではのぜいたくは「おいしい無塩バター」

バター

大好きな店の焼き立てのバゲットが手に入ったら、絶対に欠かせないのは「おいしいバター」。フランスではバターはdemi-sel(有塩)とdoux(無塩)に表示が分かれているのでお間違いなく。朝食のバゲットには圧倒的に無塩のバターが合います。

日本で高級な(そして高価な)フランスのバターが売っていますが、有名な銘柄をわざわざ選ばなくても、フランスの地方都市で売っている普通のバターは目を見はるほとおいしいです。とくに夫の出身地は酪農が盛んなので本当にバターには困らない。

バゲットに薄くバターを伸ばすのではなく厚めに切ってのせ、ダイエットなど忘れて、風味と舌で溶けるなめらかさを楽しみます。

ちなみに、バゲットはフランス人は斜め切りにしません。7〜8cmの長さに切ったらそれを立てて、縦に切って四角くし、バターやジャムをのせやすくします。