年を重ねるにつれて、健康面や脳の機能、見た目といった要素で「老化」が始まります。これらの老化を食い止めるために、運動や脳トレをしたり、美容に気を使うことも重要ですが、それ以前に「感情の老化」を意識しておくことが大切、と医師の和田秀樹さんはいいます。30年以上にわたり高齢者の精神医学に携わってきた和田さん考案の「感情老化度チェックテスト」で自分の感情年齢をチェックし、感情の老化を防ぐためにできることを見ていきましょう。
すべての画像を見る(全5枚)すべての老いは「感情の老化」から始まる
一般的に「老化」といえば、「健康」「脳」「見た目」の3つの衰えが思い浮かぶでしょう。
足腰が弱ったり、筋力が落ちたり、疲れが抜けにくく体調を崩しやすくなるのが健康面、体の衰え。ものの名前が出てこなくなったり、新しいことを覚えられなくなったり、考えがまとまりにくくなるのが脳の衰え。そして、皮膚の張りが失われたり、体形が崩れたり、シミやシワが増えるのが見た目の衰えです。
これらの老化を防ぐために、多くの人はジムに通ったり、ダイエットなどで健康管理をしたり、また、会話や交流をして脳機能の低下を防ごうとしたり、美容やファッションなどに気を使って見た目の衰えを補おうとしたりします。
もちろん、こうした努力は必要なのですが、それ以前に手を打つべきなのが、じつは「感情の老化防止」であり「感情を若々しく保つこと」なのです。
感情の老化は、40~50代で始まります。この時代をどんな意識を持ってどう過ごすか、どう過ごしてきたかによって、60歳以降がガラリと変わるのです。
なぜ「感情の老化」を防ぐことが必要?
感情年齢は、前頭葉の委縮と密接な関係があります。
人間の脳は部位によって働きが異なり、大脳の前方にある前頭葉は思考、意欲、感
情、性格、理性など高度で人間的な感情をつかさどっています。
また、前頭葉は泣いたり怒ったりといった原始的な感情よりもっと微妙で高度な判
断を担っていて、なにかに感動したり、ワクワク、ドキドキといった好奇心やときめき
をもったり、やる気を出したり、気持ちのコントロールやきり替えをしたりといった
ことも前頭葉の仕事です。
頭も体も、使い続けることで若さを保てる
この前頭葉の委縮は40代から始まり、放置しているとどんどん進行していきます。その結果、なにを見てもおもしろくないし感動もしない、やる気が起きないし、気持ちのきり替えもできない、という状態になります。
年齢を重ねると「使わない部分の衰え」が激しくなります。たとえば、高齢者がなんらかのきっかけで数か月寝込んだりすると、そのまま寝たきりになってしまうことが多く、脳を使わない生活を送っていると、認知症のようになってしまうことも珍しくはありません。
頭も体も、使い続けることで若さを保つことができるのですが、そのためには「意欲」が必要です。たとえば次のようなことはありませんか。
「昔ほどなにかに感動しなくなった」
「嫌なことがあると、ずっと引きずってしまう」
「アイデアが湧(わ)かなくなってきた」
「最近、頑固になったと感じることがある」
もし、こうした“自覚症状”があるとしたら、あなたの感情は体以上に老化し始めているかもしれません。気になる人は次の「感情老化度テスト」で、自身の「感情年齢」を測ることをおすすめします。